研究実績の概要 |
本基課題はもともと、平成28(2016)年度から実施していた科研費研究課題(基盤C)の最終年度の前年度応募として採択されたものであり、社会学におけるこれまでの主要な諸理論が言語をどのように捉えていたかを、その当時の社会史的背景に照らして、とくに国民国家との関係から明らかにするというものである。 令和2(2020)年度は本基課題の2年目であり、前年度までの研究成果にもとづいて、デュルケムの言語観におけるフランス共和主義の理念的背景を解明した、以下の英語論文を著名な国際誌(IF: 2.040)にて刊行した。 Tada, Mitsuhiro, 2020, “Language and Imagined Gesellschaft: Emile Durkheim’s Civil-linguistic Nationalism and the Consequences of Universal Human Ideals,” Theory and Society, 49(4): 597-630. (First published online: May 04, 2020, DOI: 10.1007/s11186-020-09394-1.) また、本基課題に間接的に関連する理論的テーマで、同じく著名な国際誌に英語論文を発表している。さらに、本基課題に間接的に関連する経験的テーマで、国内で実施した講演の記録も刊行した。その他、令和2(2020)年度は、前年度に引きつづいて研究の基礎となる文献資料の収集ならびにコーパス作成をおこないながら、アルフレート・シュッツの言語観についてまとめるとともに、タルコット・パーソンズの言語観に関する精査にも着手した。
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