研究課題/領域番号 |
19H01567
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
水川 喜文 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (20299738)
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研究分担者 |
秋谷 直矩 山口大学, 国際総合科学部, 准教授 (10589998)
海老田 大五朗 新潟青陵大学, 福祉心理学部, 准教授 (50611604)
柳町 智治 北星学園大学, 文学部, 教授 (60301925)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ダイバーシティ / ワークプレイス / エスノメソドロジー / 会話分析 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度の調査研究を継続し、障害者や非母語話者などと「共に働く」ことに関して、エスノメソドロジー・会話分析によるダイバシティーのワークプレイス研究として深化させることを目的として、既存フィールドおよび新規開拓フィールドに関する調査研究を行った。 障害者の参与するワークプレイスの研究に関しては、障害・社会福祉や医療と結びついたさまざまな現場に対してエスノメソドロジー・会話分析的な研究を継続した。例えば、障害者の就労支援実践やその共同作業のデザインについての分析を行い書籍として出版した(海老田 2020)。さらに障害者の日常生活と共同実践に関する調査研究を行うため、関係するNPOと連携してカフェにおける日常的共同作業の聞き取り及び研究倫理に関する準備を行った。COVID-19に関する社会的状況により現場の調査は次年度に持ち越された。また、母語を共有しない人々が働く職場(母語でない日本語あるいは英語を使って働く場面)やサービスエンカウンターの場面に関するワークプレイス研究については、既存データを用いて会話分析的な考察を継続した(柳町 2020)。さらに、新型コロナ禍により一般化したリモートワークに関する共同作業(多様な人々が働く現場)について調査準備を整えた。加えて、ダイバーシティを掲げた仕事場のデザインに関する他分野の実践・理論のレビューを進めることで、ワークプレイス研究の方法論的研究・応用可能性の研究を進めた(秋谷)。このように、本年度は、既存のフィールドと共にこれまで実施されてこなかった、遠隔による多様な参加者による共同作業をワークプレイス研究のひとつとして展開する可能性を見出し次年度の研究に引き継いだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、既存のデータに加えて、新規にフィールドを行うことを計画していたが、COVID-19に関する社会的状況により、人々が集まり仕事や作業を行うという共同作業の調査研究には大きな制限がかけられることとなった。その結果、代表者の調査研究に関しては、当初、関係NPOに協力を依頼していた外国人技能実習生による障害者介助の共同作業の調査の実施は極めて難しくなった。そのため、関係NPOと協議して障害者を含めたカフェ(厨房等)における共同作業の調査研究を中心に実施する方向となった。また、日本語を母語としない人を含めた労働現場での共同作業の調査研究については、対面のオフィスワークではなく、リモートワークにおける共同作業の調査研究を中心にデータを取得分析することとなった。以上のように、今年度は現場の調査研究自体が困難となる社会状況となったため、現状に合わせてフィールドを修正することにより調査研究を継続することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究については、COVID-19による社会状況の変化に対応し、調査研究のフィールドを修正して、障害者や非母語話者と「共に働く」ことに関して、エスノメソドロジー・会話分析のダイバーシティのワークプレイス研究として継続実施していきたいと考える。障害者の日常生活と共同実践に関するワークプレイスの調査研究については、例えばカフェにおける共同作業に関する現地調査について、関係するNPOと連携して研究倫理に配慮して進める。また、障害・社会福祉や医療に関わるさまざまな現場のワークデザインに関連してもエスノメソドロジー的な研究を行う。また、非母語話者との共同作業を行うワークプレイスに関しては、母語を共有しない人々がリモートワークする場面(母語でない日本語あるいは英語をって働く場面)についてデータを取得して会話分析的な調査研究を継続する。さらに、ダイバーシティを掲げた仕事場のデザインに関する他分野の実践・理論のレビューを継続することで、ワークプレイス研究の方法論的研究・応用可能性の研究を進める。このように、今後の研究においては、新型コロナ禍という社会状況を踏まえて、関係団体・組織との協議のもとで研究倫理に配慮して調査可能なフィールドを修正して研究を進めていきたいと考える。
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