研究課題/領域番号 |
19H01581
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
難波 孝志 大阪経済大学, 情報社会学部, 教授 (00321018)
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研究分担者 |
藤谷 忠昭 相愛大学, 人文学部, 教授 (30368378)
田村 雅夫 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (40247606)
平井 順 吉備国際大学, 農学部, 准教授 (60435039)
大瀧 友織 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (70463320)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 軍用地コンバージョン / 軍用跡地利用 / 地域住民組織 / 地域自治 / 都市計画 / 都市再開発 / 地区詳細計画 / 国際比較研究 |
研究実績の概要 |
本年度は、分析枠組みの設定と現地調査の開始、量的調査の準備期間として位置付けていた。「地域自治研究会」を組織し、毎月の定例会において分析枠組みの設定と調査地点の決定を行った。 ドイツについては、ハイデルベルク、シュヴァインフルトについて、連邦不動産局への聴き取り調査を行うとともに、基礎的資料を収集した。ハーナウ、フランクフルト、ハン・ミュンデンにおいても、行政担当者等への聴き取り、資料収集を行った。韓国については、龍山基地(ソウル市)や米軍基地移転・跡地利用に関する文献を収集した。 国内では、三沢飛行場(青森県)、立川飛行場跡地(東京都)、基地所在自治体では、東京都、立川市、昭島市(東京都)、神奈川県、横浜市、横須賀市、相模原市、座間市(神奈川県)での現地調査および自治体等への聴き取りを行った。舞鶴市(京都府)では、旧軍港=海上自衛隊基地の現状調査と市役所・地域住民への聴き取りを行った。旧柳本飛行場、航空自衛隊奈良基地(奈良県)、北九州市のキャンプコクラ、福岡市のキャンプハカタ(福岡県)においては、跡地再開発の資料収集と現地調査を行った。佐世保市(長崎県)では、旧海軍跡地転用ならびに米海軍と海上自衛隊基地に関する資料収集と現地調査を行った。 沖縄では、中城村の西原飛行場跡地に関する村役場・自治会への聴き取りをはじめ、宜野湾市の資料収集と現地調査、沖縄市での自治体、軍用地主会、郷友会への聴き取り、浦添市の港川外人住宅についての不動産業者、市への聴き取り、北中城村の泡瀬ゴルフ場跡地について、北中城村、北谷町、沖縄市の観光協会、雇用センターへの聴き取りを実施した。また、那覇市の那覇港湾施設については、市役所や軍用地主会に、浦添市の那覇軍港の移設問題についても、市役所への聴き取り調査を実施した。 なお、量的調査においては、調査対象の決定、質問項目の洗い出し作業を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析枠組みの設定と現地調査の開始、量的調査の準備期間という調査スケジュールに則って、2020年3月初旬までは極めて順調に調査段階は推移してきた。ドイツ調査については、ミュンヘン大学からのアドバイスを受けることができたし、琉球大学の跡地利用の日独比較を行っているチームとの研究交流もできた。基礎的資料の収集もインテンシブな現地調査も順調に実施することができている。 国内調査では、研究分担者や研究協力者の協力もあって、三沢、立川、舞鶴、奈良、北九州、福岡、佐世保の各基地所在地点および基地跡地所在地点での関係アクターへの聴き取り調査および資料蒐集は順調に実施できている。また、比較の対象であった沖縄の中城村、北中城村、沖縄市、北谷町、宜野湾市、浦添市、那覇市の調査も、エクステンシブ・インテンシブ両面から極めて順調に調査プロセスは推移してきた。 ただ、3月中旬に予定していた韓国ソウル市での聴き取り調査および龍山基地周辺の現地調査、韓国国立国会図書館での文献収集の計画については、新型コロナウィルス感染症予防対策のために、延期することを余儀なくされた。この状況がいつ改善するかわからない状態ではあるが、韓国から購入した文献およびWebによるデータ収集によって、研究調査を継続しているところである。 また、量的調査は担当者の変更によって、スケジュールの見直しが生じてしまった。これに対して、4月から担当者を変更し、研究会の中にワーキンググループを組織するなどして、スケジュールの回復に努めている。 これらの点を総合して、研究計画はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、時間をかけて策定した分析枠組み・質問項目等をもとに、調査対象に対して引き続き現地調査を実施する予定である。 ドイツ調査については、2019年度に収集したデータの不足分を埋めるべく、ハーナウ、フランクフルト、ハン・ミュンデンの再調査(文献資料および現地調査)を計画している。琉球大学との連携によって、新たにベルリン調査も計画中である。 韓国調査については、社会状況が許せば、韓国での現地視察と関係部署(ソウル市、龍山区庁など)へのインタビューを実施する予定である。また、龍山基地移転については市民セクターの動きも無視することはできない。そのため、環境保護団体などの龍山基地移転に積極的に発言している市民団体に対しても調査を実施したい。 国内では、港区、府中市、多摩市、清瀬市(東京都)、厚木基地周辺の大和市、綾瀬市、海老名市、横田基地周辺の福生市、羽村市、瑞穂町、武蔵村山市、既訪問自治体への再調査、さらには住民からのヒアリング、東京、神奈川における基地周辺の自治体、住民の状況を包括的に把握する。旧軍港関係について、舞鶴、佐世保に加え呉を追加し、旧海軍が地域社会にもたらした歴史的遺産や文化を含め、それが地域社会に及ぼす影響を把握する。福岡県を中心とする九州地方の軍用地の跡地再開発に関する資料収集と現地調査を推進することなどを予定している。佐世保では、移転先として想定されている針尾地区における住民の対応を調べることによって軍用地転用と地域住民の関わりの様相を明らかにする 沖縄では、那覇市、浦添市、沖縄県さらには国家というステイクホルダーの思惑や動向等を調査解明し、那覇都市圏、さらには沖縄県の地域住民にとってこの移転のあり様がどのような影響を及ぼすのかを明らかにする。
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