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2020 年度 実績報告書

軍用地コンバージョンの国際比較:沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H01581
研究機関大阪経済大学

研究代表者

難波 孝志  大阪経済大学, 情報社会学部, 教授 (00321018)

研究分担者 藤谷 忠昭  相愛大学, 人文学部, 教授 (30368378)
田村 雅夫  椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (40247606)
平井 順  吉備国際大学, 農学部, 准教授 (60435039)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード軍用地コンバージョン / 軍用跡地利用 / 地域住民組織 / 地域自治 / 都市計画 / 都市再開発 / 安心安全 / 国際比較研究
研究実績の概要

2020年度は、新型コロナウィルス感染症による渡航禁止措置の影響によって、海外で計画していたすべての現地調査が実施できなかった。海外現地調査は2021年度に繰り越すことにして、インターネット・文献等での資料蒐集、実施可能な限りの国内現地調査の実施、全国の基礎自治体を対象とした質問紙調査の設計へとシフトさせた。2021年度も、引き続き新型コロナ禍による海外での現地調査は実施に至らず、2020年度計画分は、2019年度から2020年度までの中間成果報告としての『研究成果報告書 第1輯』(全196ページ)の作成、質問紙調査の設計・実施に力点を置く結果となった。
具体的には、海外においては、バンベルク、ハーナウ(ドイツ)、ソウル市龍山(韓国)の資料蒐集を行った。国内では、三沢飛行場(青森)をはじめ、赤坂プレスセンター、ニューサンノー米軍センター、大和田通信所、府中通信施設、立川駐屯地・分屯基地、調布飛行場、福生アメリカンハウス等(東京都)、入間基地(埼玉)、池子住宅地区共同使用地区、長岡小銃練習場、キャンプ座間、小柴貯油施設跡地、相模総合補給廠、多摩サービス補助施設、根岸住宅地区等(神奈川)、舞鶴市旧海軍関連施設、宇治市自治体施設(京都)、呉市海事歴史科学館(広島)、北九州市軍用跡地(福岡)、佐世保基地(長崎)、那覇・宜野湾、西原飛行場(沖縄)等での、現地での資料蒐集および関係アクター等への聴き取り、現地視察等を実施した。
また、量的調査においては、調査期間を2022年2月3日から22日に設定して、全国1,741の基礎自治体に対して質問紙を郵送し、首長の意識と自治体の実態について、「安心安全で持続可能な地域経営に関する自治体アンケート」調査を実施した。1回の督促ののち610件の回答を得た。回収率は、35.0%であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年3月初旬まで、極めて順調に推移してきた調査段階は、新型コロナウィルス感染症の影響によって、2020年度の調査計画、中でも特に海外調査は、大きく後退せざるを得なかった。
ドイツ調査については、計画していたミュンヘン、バンベルク、ハーナウ、フランクフルト、ハン・ミュンデンの新規および現地再調査は、実現しなかった。韓国調査についても、現地視察と関係部署(ソウル市、龍山区庁など)へのインタビューは実施できなかった。
国内調査では、研究分担者や研究協力者の協力もあって、三沢、府中、立川、調布、池子、座間、相模、多摩、舞鶴、宇治、呉、北九州、佐世保等の各基地所在地点および基地跡地所在地点での関係アクターへの聴き取り調査および資料蒐集は順調に実施できている。比較の対象である沖縄においても、那覇、宜野湾、西原において、極めて順調に調査プロセスは推移してきた。結果、沖縄と国内他地域の各基地所在地点および基地跡地所在地点との比較によって、基地の移転と住民の移転の相違、日本海側の軍用地コンバージョンの傾向、自衛隊関連施設への転用のウエイトの大きさ等を把握すると同時に、軍用地コンバージョンの地域社会への影響が予想以上に大きいことなどの成果が確認できた。
また、ここまで慎重に準備を進めていた量的調査は、実績の概要で示した通り、基礎自治体からのデータ回収を成功裏に終えた。国勢調査や防衛省公表データなど既存データを用いた自治体基礎データの作成も順調に推移している。
これらの点を総合して、研究計画はおおむね順調に推移していると判断できる。

今後の研究の推進方策

まずは、新型コロナウィルス禍によって実施できなかった海外現地調査を、夏季あるいは春季に実施することが重要である。ドイツ調査については、2019年度に収集したデータの不足分を埋めるべく、ミュンヘンの再調査(文献資料および現地調査)を計画している。琉球大学との連携によって計画したベルリン調査も未だ実施できていない。韓国調査についても、計画していた現地視察と関係部署(ソウル市、龍山区庁など)へのインタビュー、市民セクター、環境保護団体などに対しての聴き取り調査を実施したい。
国内では、これまでの調査の補充調査として、小松市(石川)、多摩市、立川市、福生市(東京都)、横浜市、入間市(神奈川)、舞鶴市、福知山市、宇治市(京都)、北九州市(福岡)、佐世保市(長崎)の新規および再調査を実施する予定である。沖縄では、那覇市、宜野湾市、南城市を重点的に現地調査する予定である。
また、全国の基礎自治体から質問紙調査によって得たデータのクリーニングを早急に実施し、作成した自治体基礎データとマージ処理を行い、本格的な計量分析を開始する。
そして、市町村、県、さらには国家というステイクホルダーの思惑や動向等を調査解明し、地域住民にとって軍用地コンバージョンのあり様がどのような影響を及ぼすのか、引き続き明らかにしていきたい。

  • 研究成果

    (29件)

すべて 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (11件)

  • [雑誌論文] 1.軍用地コンバージョンの国際比較研究の意義2021

    • 著者名/発表者名
      難波孝志
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS科研費 研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 2.ドイツの軍用地コンバージョンとしての難民収容問題 ―バイエルン州バンベルク市を事例として―2021

    • 著者名/発表者名
      難波孝志
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 9-22

  • [雑誌論文] 3.旧米軍施設のコンバージョン ―ドイツ・ヘッセン州ハーナウの事例ー2021

    • 著者名/発表者名
      南裕一郎
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 23-34

  • [雑誌論文] 4.韓国における米軍基地 ―兵力削減・基地返還の動きを中心にして―2021

    • 著者名/発表者名
      武田祐佳
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 35-48

  • [雑誌論文] 5.首都圏と軍事施設2021

    • 著者名/発表者名
      藤谷忠昭
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 49-58

  • [雑誌論文] 6.東京と軍事施設2021

    • 著者名/発表者名
      藤谷忠昭
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 59-80

  • [雑誌論文] 7.旧軍港都市のまちづくり ―舞鶴市における軍用地コンバージョン―2021

    • 著者名/発表者名
      杉本久未子
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 81-90

  • [雑誌論文] 8.旧日本軍の軍用跡地利用調査報告 -奈良県下における旧軍用地の跡地利用について-2021

    • 著者名/発表者名
      山本素世
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 91-104

  • [雑誌論文] 9.造兵廠跡地転用後の変遷 ―小倉北区大手町を住宅地図で辿る―2021

    • 著者名/発表者名
      平井順
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 105-124

  • [雑誌論文] 10.軍用地転用問題から見た長崎県佐世保市の地域課題 ―佐世保市の都市アイデンティティと前畑弾薬庫移転問題―2021

    • 著者名/発表者名
      田村雅夫
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 125-134

  • [雑誌論文] 11.沖縄県西原飛行場の返還と跡地の転用2021

    • 著者名/発表者名
      牧野芳子
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 135-146

  • [雑誌論文] 12.沖縄と自衛隊(6)2021

    • 著者名/発表者名
      藤谷忠昭
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 147-180

  • [雑誌論文] 13.外人住宅の転用と観光まちづくり ―港川ステイツサイドタウンを事例に―2021

    • 著者名/発表者名
      栄沢直子
    • 雑誌名

      「軍用地コンバージョンの国際比較 ―沖縄の基地移転と跡地再開発をめぐる地域社会研究―」令和元年度~令和3年度 JSPS研究成果報告書 第1輯

      巻: 1 ページ: 181-196

  • [雑誌論文] 沖縄県西原飛行場の返還に関する考察(2) ―1950年代の軍用地返還と跡地利用―2021

    • 著者名/発表者名
      牧野芳子
    • 雑誌名

      佛大社会学

      巻: 45 ページ: 76-80

    • 査読あり
  • [学会発表] 軍用地コンバージョンの比較研究(1)――ドイツ-バンベルクの難民収容事例2021

    • 著者名/発表者名
      難波孝志
    • 学会等名
      日本社会学会
  • [学会発表] 軍用地コンバージョンの比較研究(2)――旧軍港都市舞鶴を事例として2021

    • 著者名/発表者名
      杉本久未子
    • 学会等名
      日本社会学会
  • [学会発表] 軍用地コンバージョンの比較研究(3)――小倉陸軍造兵廠の事例2021

    • 著者名/発表者名
      平井順
    • 学会等名
      日本社会学会
  • [学会発表] 郷友会の共同性と接収地補償――旧コザ市の字有地をめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      藤谷忠昭
    • 学会等名
      地域社会学会
  • [図書] 「45.ドイツの米軍基地における難民の収容問題」、漆原和子、藤塚吉浩、松山洋、大西宏治(編)『図説 世界の地域問題 100』pp.90-912022

    • 著者名/発表者名
      難波孝志
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779516139
  • [図書] 「序章「寄留民」ショックと沖縄の「シマ」」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.3-152020

    • 著者名/発表者名
      難波孝志
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第1章 沖縄の区をめぐる地域自治組織の関係性─ 沖縄県名護市の区を事例として─」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.17-322020

    • 著者名/発表者名
      難波孝志
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第2章 沖縄本島における字のリアリティー北部の軍用地と住民関係に関する考察─」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.35-522020

    • 著者名/発表者名
      牧野芳子
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第3章 属人的住民自治組織と行政区─ 読谷村の住民自治組織の変容─」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.53-702020

    • 著者名/発表者名
      杉本久未子
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第4章 共同性の物質的条件─ 沖縄市の郷友会と嘉手納基地─」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.71-872020

    • 著者名/発表者名
      藤谷忠昭
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第5章 米軍占領後の地域社会の変容と郷友会─ 北谷町・嘉手納町を事例として─」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.89-1092020

    • 著者名/発表者名
      武田祐佳
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第6章 宜野湾市の旧字継承団体」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.111-1272020

    • 著者名/発表者名
      平井順
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第7章 基地に面した自治会の機能と関係─ 浦添市を事例として─」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.129-1472020

    • 著者名/発表者名
      栄沢直子
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第8章 共同店と地域社会─ 恩納村真栄田区を事例として─」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.149-1662020

    • 著者名/発表者名
      山本素世
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002
  • [図書] 「第9章 軍用地の中の「シマ」の記憶─ 垣花人にとっての那覇軍港─」、難波孝志(編)『米軍基地と沖縄地域社会』pp.167-1852020

    • 著者名/発表者名
      南裕一郎
    • 総ページ数
      198
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779515002

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公開日: 2022-12-28  

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