研究課題/領域番号 |
19H01584
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
辰己 佳寿子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80379924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 村落社会 / 過疎化 / 移住 / 出稼ぎ / UJIターン / 伝統文化の衰退 |
研究実績の概要 |
令和4年度は、前半に国内調査を行い、後半に海外調査(於ネパール)を実施した。 前半の国内での活動は、新型コロナウィルスの感染対策を意識して小さな研究会を数回行うようにした。オンラインの体制を整えてオンライン型やハイブリッド型の方法を導入した。国内調査については、山口県を基点に他県での調査も進めて相対的に山口県の村落社会を位置づける試みを行った。これまでは、地元の方とUIJターン者を分けて分析を行ってきたが、地元の方というカテゴリーと認識していた世帯が数世代前に移住したという「かつてのIターン者の末裔」であったことが判明し、ファミリーヒストリーの聞き取り調査を行い、「移住」に関する定義を再考した。また、婚姻による定住も重要な移住者でもあるので、農山漁村女性の役割も検討した。国内の文献研究および調査の成果の一部は『山口県史』に掲載していただいた。 後半の海外調査はネパールに渡航して実施した。これまでネパールの研究協力者とオンライン等で連携を図ってきたため、ネパールでの村落調査は予想以上に進んだ。今回の調査では、ネパールの山村でも道は悪いが車で通行できる地域が広がったり、WIFIエリアが拡大していたり、スマートフォンが浸透していたり、若者文化が浮上していたりという新しい変化を目の当たりにすることができた。ゆえに、欧米やインド・中東への移住(出稼ぎ・留学等)しているネパール人への調査はオンラインで行うことができた。同時に、一時帰国しているネパール人へ対面の聞き取り調査も行った。これらの現象は、日本村落社会が辿ってきた過疎化の進行や伝統文化の衰退など共通する背景があるが、出稼ぎ先が海外であることや容易なオンライン交流が可能であることなど異なる側面もあり、より明確な比較研究の視座が必要であるとの認識に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響で海外調査が遅れていたが、本年度に海外調査を行うことができたことから遅れは取り戻しつつある。しかしながら、その遅れを完全に取り戻すにはもう少し時間を要する状況である。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査が滞っている期間は国内調査を前倒しにして進めてきたので、今後は海外調査に重点を置いて本研究を進めていく。
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