研究課題/領域番号 |
19H01601
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
木原 活信 同志社大学, 社会学部, 教授 (20275382)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ジョージ・ミュラー / 山室軍平 / ブリストル孤児院 / 石井十次 |
研究実績の概要 |
本研究は、英国のブリストルの孤児院を創設したブラザレン系の伝道者であったジョージ・ミュラー(1805-1898)の福祉思想が日本の社会事業形成へ与えた影響に関する総合的研究である。ミュラーという人物については、ブリストルの孤児院創設者、キリスト教伝道者、として知られているが、多くは「偉人伝」的な扱いは別として社会福祉研究の中では、十分に検証されることなく学術的探究はほとんどなされていないのが現状である。 それらを踏まえて、本年の研究では主にキリスト教社会福祉史の研究のなかで、特に日本の山室軍平、石井十次とジョージ・ミュラーとの関係を軸に研究をすすめた。特に石井は「日本のミュラーにならんとす」(日誌)で記しているほど強い影響を与えている。 また、これまで十分な議論がなされてこなかったミュラーと英国のブラザレン運動の関係性について資料からその史的関係性について解明することができた。また、ミュラーの孤児院の草創期について日誌等の原資料を通して、彼の精神的苦痛や孤児事業の窮乏、財政難について解明することができた。 その他、ミュラーの先行研究の批判的検討をすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジョージ・ミュラーに関する資料収集、整理、分析において一部、未解決の点は残されているが、概ね順調にすすめられていると言える。特に、山室軍平、石井十次とジョージ・ミュラーとの関係を軸にすすめたことは一つの成果である。また、ミュラーと英国のブラザレン運動を実証的に解明も一つの評価である。 また、ミュラーの孤児院草創期の精神的苦痛や財政難についても論文を発表するなどできたことは今後のミュラー研究においても脱英雄化への助走となろう。 先行研究について吟味し、整理ができたことは意義深い。 残された課題は、ブリストルの資料収集である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに英国のジョージ・ミュラーの資料などを活用しつつ、それらを踏まえたうえでのミュラーの全体像、その思想の全貌、特に日本とのかかわり等に焦点をあてて一層に研究を深化させすすめていきたい。 これらを通して、偉人伝のミュラーを超えた、アカデミックな文脈でのミュラー研究の端緒としたい。
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