研究課題/領域番号 |
19H01623
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
田代 美江子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40297049)
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研究分担者 |
渡辺 大輔 埼玉大学, 教育機構, 准教授 (00468224)
丸井 淑美 群馬医療福祉大学, 看護学部, 教授 (00814998)
艮 香織 宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (10459224)
浅井 春夫 立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (30231864)
杉田 真衣 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (50532321)
北田 佳子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60574415)
及川 英二郎 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80334457)
伊藤 修毅 日本福祉大学, 教育・心理学部, 准教授 (80634089)
堀川 修平 埼玉大学, 教育学部, その他 (80912815)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 包括的セクシュアリティ教育(CSE) / ジェンダー平等 / 性の多様性 / 授業実践 |
研究実績の概要 |
2021年度では、特に目的③、学校現場の教員との協働で、ユネスコ等によって開発された『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(以下『ガイダンス』)を踏まえ他包括的性教育の授業案、教材および教育方法の開発、授業研究に取り組んだ。コロナ感染拡大の厳しい状況の中でも、限定的に継続してきた授業実践について議論を進め、現場の教員が活用できる授業実践集を作成し、まもなく発刊するところまで来ている。 中学校を実践研究のフィールドとしてきたが、共同研究者のさまざまな立場を生かし、乳幼児期から高等学校段階教員や保護者を視野に入れたさまざまな教材を作成してきた。先の教員に活用してもらうための実践集に加え、乳幼児期から小学校低学年においては翻訳も含む絵本の作成、小学校高学年から中学生向けの学校図書、親子向けの書籍などを発表しており、日本における包括的性教育の周知と実践の拡大という点で社会的な貢献ができている。 コロナ感染拡大の状況の中で、予定通り実現することのできなかった中国を中心とした包括的性教育実践の現地調査と交流については、その可能性を探ってきたが、遠隔での交流がスタンダードとなった状況もあり、遠隔での情報共有と交流を目指すことで方針を転換し、交流国に韓国も加えることとした。その交流を包括的性教育に興味関心のある日本の教員などにシンポジウムの形で公開することを計画し準備を進めてきた。 この他、研究の進展の中で、現場の教員が包括的性教育に取り組むために必要な環境について、研究協力者(シドニー大学大学院生)を得て、量的調査にも取り組み、現在、調査結果をまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
特に、『ガイダンス』を踏まえた教材開発という点では予想以上の成果を上げることができた。メンバーが関わり公刊されている性教育教材は10点を越える。この中には、インターネットを利用した発信なども含み、『ガイダンス』を踏まえた包括的性教育の積極的な発信という点では、性教育をめぐる社会的状況もあり計画以上の進展があった。 また、コロナの問題について議論し、方針の再検討をしたことで、特に東アジアの性教育についての調査研究という点で、シンポジウムの開催など、新たな発展につながったこともこの評価の理由の一つとなっている。 さらに、本研究の目的の一部である、包括的性教育実践の具体的課題を明らかにするための量的調査に取り組めたことも、研究計画当初にはなかった取り組みである。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、現在進行中の教材開発を完遂すると同時に、この教材開発との関連で、目的②『ガイダンス』を踏まえた包括的性教育指針開発の妥当性、方向性について検討を開始しているが、その結論を出し、形にしていく。現在の段階では、子ども版『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』を目指したいと考えている。 第2に、中国および韓国の包括的性教育の実態と課題を学び、日本の課題を考えるためのシンポジウムを、オンデマンドおよびリアルタイムのリモート交流の形で、夏に開催する予定である。すでに、中国、韓国、各国2名の研究者との打ち合わせも済ませ、実現に向けて打ち合わせを重ねている。 第3に、量的調査の結果を、可能であれば海外の性教育関係の学会で報告し、ジャーナルに投稿する。掲載がかなわない場合も、国内での報告を何らかの形で行う。 第4に、これまで積み重ねてきた授業実践の分析に本格的に着手する。その一環として、卒業生へのインタビューを実施する。すでに卒業生へのネットによる簡単な調査は済ませており、了承を得られた対象者へのインタビューを実現し、実践についての具体的課題分析に取り組む。
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