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2022 年度 実績報告書

ジェンダー平等と多様性を前提とする包括的性教育指針の提案と授業実践の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H01623
研究機関埼玉大学

研究代表者

田代 美江子  埼玉大学, 教育学部, 教授 (40297049)

研究分担者 渡辺 大輔  埼玉大学, 教育機構, 准教授 (00468224)
丸井 淑美  日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 教授 (00814998)
艮 香織  宇都宮大学, 共同教育学部, 准教授 (10459224)
浅井 春夫  立教大学, 名誉教授, 名誉教授 (30231864)
杉田 真衣  東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (50532321)
北田 佳子  埼玉大学, 教育学部, 教授 (60574415)
及川 英二郎  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (80334457)
伊藤 修毅  日本福祉大学, 教育・心理学部, 准教授 (80634089)
堀川 修平  埼玉大学, 教育学部, その他 (80912815)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード包括的セクシュアリティ教育(CSE) / ジェンダー平等 / 性の多様性 / 授業実践
研究実績の概要

本研究は、日本の子ども・若者たちに、包括的性教育を保障しうる基盤を構築することを目的としている。
2022年度においては、学校現場の教員との協働で、ユネスコ等によって開発された『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』(以下『ガイダンス』)を踏まえた包括的性教育の授業案、教材および教育方法の開発、授業研究に取り組んだ。その成果として、2022年11月には、現場の教員が活用できる授業実践集『思春期の子どもたちに「性の学び」を届けたい!実践 包括的性教育』を発刊した。
さらに、『ガイダンス』の内容を日本で広げるための講座等の発信を積極的に行うと同時に、その内容を小学校高学年から中学生にも理解できるようなテキスト『子ども版国際セクシュアリティ教育ガイダンス』の開発に取り組んできた。このため、月1回の研究会を重ね、現在、全体の原稿が整いつつある。
さらに、メンバーそれぞれが取り組むフィールド、学校段階を対象とした絵本やテキストなどの作成にも務め、日本における包括的性教育の周知と実践の拡大という点で社会的な貢献ができている。
本研究において、コロナ感染拡大の状況の中で予定通り実現することのできなかった中国を中心とした包括的性教育実践の現地調査と交流については、2022年8月にリモートによる国際シンポジウムを開催することで、韓国、中国、日本における包括的性教育の取り組みについての交流を行った。100名近くの参加者があった。この成果は、『季刊セクシュアリティ』110号に、その記録を掲載することができた。
この他、現場の教員が包括的性教育に取り組むために必要な環境について、研究協力者(シドニー大学大学院生)を得て、量的調査にも取り組み、調査結果をまとめ、国際ジャーナルへの投稿準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

特に、『ガイダンス』を踏まえた教材開発という点では予想以上の成果を上げることができた。メンバーが関わり公刊されている性教育教材は10点を越える。
この中には、インターネットを利用した発信なども含み、『ガイダンス』を踏まえた包括的性教育の積極的な発信という点では、性教育をめぐる社会的状況もあり計画以上の進展があった。
また、コロナ感染拡大によって実現が困難となった東アジアにおける包括的性教育実践の調査研究は、国際シンポジウム開催という異なる形となったが、これまでの研究の中で構築してきたネットワークを十分に活かした企画となり、中国と韓国における包括的セクシュアリティ教育に取り組むトップランナーの研究者を迎え交流できたことは重要な成果となった。この点は、この評価の理由の大きな理由となっている。
さらに、本研究の目的の一部である、包括的性教育実践の具体的課題を明らかにするための量的調査に取り組めたことも、研究計画当初にはなかった取り組みである。

今後の研究の推進方策

第1に、現在進行中のテキスト開発、子ども版『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』の発刊を目指す。
第2に、2022年度に作成した実践集の成果を、国内にとどまらず、国際的な機会を得て発信していきたい。現在、2023年10月に台湾で開催される"CSE in Asia: TGEEA 2023 International Forum"での報告を予定している。
第3に、量的調査の結果を、海外の性教育関係ジャーナルに投稿し、掲載を目指す。すでにその準備を進めている。
第4に、これまで積み重ねてきた授業実践の分析のため、実践に取り組んできた教員および、卒業生へのインタビューを実施する。

備考

この成果は翻訳し『季刊セクシュアリティ』110に掲載 2022 42-115

  • 研究成果

    (51件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (41件) (うち査読あり 3件) 図書 (7件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] 京畿大学/保健教育フォーラム/AHA!ソウル市立青少年性文化センター(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      京畿大学/保健教育フォーラム/AHA!ソウル市立青少年性文化センター
  • [国際共同研究] 北京師範大学/エンパワーメント型性教育チーム(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      北京師範大学/エンパワーメント型性教育チーム
  • [雑誌論文] 包括的セクシュアリティ教育の可能性2023

    • 著者名/発表者名
      田代美江子
    • 雑誌名

      世界 岩波書店

      巻: 968 ページ: 189-198

  • [雑誌論文] 「性的マイノリティ」に関する課題と対応2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      季刊教育法

      巻: 216 ページ: 22-25

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 思春期における性の多様性と社会的課題2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      思春期学

      巻: 40(4) ページ: 321-327

    • 査読あり
  • [雑誌論文] なぜ乳幼児期に性教育が必要なのか2023

    • 著者名/発表者名
      艮香織
    • 雑誌名

      保育の友

      巻: 71 (2) ページ: 18-21

  • [雑誌論文] 社会科領域でできる性教育2023

    • 著者名/発表者名
      艮 香織, 及川 英二郎
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 109 ページ: 13-17

  • [雑誌論文] 座談会 対話から見えてくる性教育の可能性 : 社会科と家庭科2023

    • 著者名/発表者名
      國分 麻里, 鶴田 敦子, 艮 香織, 及川 英二郎
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 109 ページ: 18-29

  • [雑誌論文] 性教育の弱点と社会科の弱点2023

    • 著者名/発表者名
      及川英二郎
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 109 ページ: 6-12

  • [雑誌論文] ジェンダーセッション(第87回) : 性的マイノリティ「支援」に留まらないクィアペダゴジーの在り方 : 性的マイノリティに関わる日本の教育政策と教育実践との乖離に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      堀川修平
    • 雑誌名

      立教大学ジェンダーフォーラム年報 : Gender-Forum

      巻: 24 ページ: 65-75

  • [雑誌論文] 「多様性」の保障のためのクィアペダゴジーの視点――性の多様性に関する教育制度に着目して2023

    • 著者名/発表者名
      堀川修平
    • 雑誌名

      思春期学

      巻: 41(1) ページ: 116-120

    • 査読あり
  • [雑誌論文] SRHRは「からだの権利」―特集にあたって2022

    • 著者名/発表者名
      田代美江子
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 107 ページ: 4-7

  • [雑誌論文] 「性の多様性」をめぐる文部科学省の動向と課題2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      小児内科

      巻: 54 (10) ページ: 1691-1694

  • [雑誌論文] インタビュー ドラァグクイーンが子どもたちに絵本の読み聞かせ : ドラァグクイーン・ストーリー・アワーってなんだろう?2022

    • 著者名/発表者名
      マダム ボンジュール・ジャンジ, 吉田智子, 渡辺大輔
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 108 ページ: 80-89

  • [雑誌論文] インタビュー 絵本は時代を映す鏡 : 『レインボーブックガイド 多様な性と生の絵本』の著者、草谷桂子さんに聞く2022

    • 著者名/発表者名
      草谷桂子, 星野恵, 渡辺大輔
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 108 ページ: 6-17

  • [雑誌論文] 座談会 SRHR(性と生殖の健康と権利)の実現と包括的セクシュアリティ教育2022

    • 著者名/発表者名
      田代 美江子, 関口 久志, 金子 由美子, 福田 和子, 遠見 才希子
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 107 ページ: 18-33

  • [雑誌論文] 「性の多様性」とは何か?[第1回・新連載]私たちを縛るものは?2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      英語教育

      巻: 2022年8月号 ページ: 6

  • [雑誌論文] 「性の多様性」とは何か?[第2回]あなたも「多様性」の中の1人です2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      英語教育

      巻: 2022年9月号 ページ: 6

  • [雑誌論文] 「性の多様性」とは何か?[3]アンコンシャス・バイアスとマイクロアグレッション2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      英語教育

      巻: 2022年10月後 ページ: 6

  • [雑誌論文] 「性の多様性」とは何か?[4・最終回]変化する言葉、これからの教育2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      英語教育

      巻: 2022年11月号 ページ: 6

  • [雑誌論文] うちの地域の「性教育の手引き」ってどうなってるの? 連載 最終回を迎えて2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 107 ページ: 134-137

  • [雑誌論文] 渡辺大輔先生インタビュー 「包括的性教育」とは何か2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      T-navi edu

      巻: 12 ページ: 8-11

  • [雑誌論文] 子どもの権利としての性の権利 : 包括的性教育の視点から2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      教育と医学

      巻: 70 (4) ページ: 335-342

  • [雑誌論文] フィンランドの性教育 : NGOによるセクシュアリティ教育と教育者養成を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      Tommi Paalanen, Tiina Vilponen, 渡辺大輔(翻訳)
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 106 ページ: 88-99

  • [雑誌論文] 「性の多様性」を学習する必要性と課題2022

    • 著者名/発表者名
      渡辺大輔
    • 雑誌名

      HiT 保健と体育の情報誌

      巻: 2 ページ: 6-7

  • [雑誌論文] 障害のある子どもたちの性と性教育の現在2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤修毅
    • 雑誌名

      子育て支援と心理臨床

      巻: 22 ページ: 35-39

  • [雑誌論文] 『生命(いのち)の安全教育』の背景と課題2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤修毅
    • 雑誌名

      たのしい体育・スポーツ

      巻: 325 ページ: 48-53

  • [雑誌論文] 『生命(いのち)の安全教育』の背景と問題2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤修毅
    • 雑誌名

      こども白書

      巻: 2022 ページ: 178-179

  • [雑誌論文] 座談会 学び直そう! 月経 : ジェンダー平等の課題として2022

    • 著者名/発表者名
      艮香織 櫻井裕子 谷口歩美 篠原美香
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 104 ページ: 36-45

  • [雑誌論文] インタビュー 私たち大人に求められること : スクール・ソーシャルワークの視点から2022

    • 著者名/発表者名
      梅山 佐和, 及川 英二郎
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 105 ページ: 132-143

  • [雑誌論文] 意見表明権の重要性 : 「守る」とはどういうことか2022

    • 著者名/発表者名
      及川英二郎
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 105 ページ: 124-131

  • [雑誌論文] “生理の貧困”問題とこれからの性教育 第1回「生理の貧困」から見 える日本社会の問題」2022

    • 著者名/発表者名
      杉田真衣
    • 雑誌名

      高校保健ニュース

      巻: 725 ページ: 2-3

  • [雑誌論文] “生理の貧困”問題とこれからの性教育 第2回皆でともに「生理」を 学び、語り合う2022

    • 著者名/発表者名
      杉田真衣
    • 雑誌名

      高校保健ニュース

      巻: 755 ページ: 2-3

  • [雑誌論文] 学校における性と私たち2022

    • 著者名/発表者名
      杉田真衣
    • 雑誌名

      生活指導

      巻: 763 ページ: 27-34

  • [雑誌論文] 日本のジェンダー平等の現状と学校教育の課題2022

    • 著者名/発表者名
      杉田真衣
    • 雑誌名

      さいたまの教育と 文化

      巻: 99 ページ: 8-11

  • [雑誌論文] アメリカにおける性教育政策の現状2022

    • 著者名/発表者名
      北田佳子
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 106 ページ: 16-27

  • [雑誌論文] 公教育に包括的性教育を!―子ども・若者の性の課題に応じた人権教育2022

    • 著者名/発表者名
      浅井春夫
    • 雑誌名

      教育

      巻: 920 ページ: 5-12

  • [雑誌論文] 社会問題をセクソロジーする(27)性教育は政治的逆流の手はじめであった:性教育バッシングの出発点と社会的背景2022

    • 著者名/発表者名
      浅井春夫
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 108 ページ: 144-147

  • [雑誌論文] 社会問題をセクソロジーする(26)同意と同異のバウンダリー(境界):プライベートな関係で"プチ・プーチン"にならないために2022

    • 著者名/発表者名
      浅井春夫
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 107 ページ: 150-153

  • [雑誌論文] 社会問題をセクソロジーする(25)子どもの教育データの一元化は何をめざす? : ICTとデジタル化は性教育を豊かに2022

    • 著者名/発表者名
      浅井春夫
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 106 ページ: 146-149

  • [雑誌論文] 社会問題をセクソロジーする(24)オトコたちが考える「生理の貧困」 : 共生のための入門的設問2022

    • 著者名/発表者名
      浅井春夫
    • 雑誌名

      季刊セクシュアリティ

      巻: 105 ページ: 136-139

  • [雑誌論文] 包括的性教育の重要性と現場で生かすための諸問題2022

    • 著者名/発表者名
      浅井春夫
    • 雑誌名

      議会と自治体

      巻: 290 ページ: 66-75

  • [雑誌論文] ジェンダー・セクシュアリティに着目した「総合的な学習」の指導法―性教育を担った教師の課題意識と授業実践案に着目して―2022

    • 著者名/発表者名
      堀川修平
    • 雑誌名

      武蔵野美術大学研究紀要

      巻: 52 ページ: 20-33

  • [図書] 発達が気になる子の性の話 みんなでいっしょに学びたい2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤 修毅監修
    • 総ページ数
      100
    • 出版者
      講談社
    • ISBN
      4065302218
  • [図書] パンでわかる包括的性教育2023

    • 著者名/発表者名
      浅井 春夫、ニシワキタダシ、礒 みゆき
    • 総ページ数
      144
    • 出版者
      小学館クリエイティブ
    • ISBN
      9784778035952
  • [図書] 思春期の子どもたちに「性の学び」を届けたい! 実践 包括的性教育2022

    • 著者名/発表者名
      田代美江子 樋上典子 艮香織 渡辺大輔
    • 総ページ数
      231
    • 出版者
      エイデル研究所
    • ISBN
      9784871686839
  • [図書] 考えよう! 人間の一生と性(人間と性の絵本)2022

    • 著者名/発表者名
      艮 香織、柿崎 えま
    • 総ページ数
      48
    • 出版者
      大月書店
    • ISBN
      4272407457
  • [図書] 性は人権なの?(人間と性の絵本)2022

    • 著者名/発表者名
      艮 香織、柿崎 えま
    • 総ページ数
      48
    • 出版者
      大月書店
    • ISBN
      4272407449
  • [図書] からだの権利教育入門 幼児・学童編2022

    • 著者名/発表者名
      浅井春夫、艮香織
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      子どもの未来社
    • ISBN
      486412213X
  • [図書] 気づく立ちあがる育てる : 日本の性教育史におけるクィアペダゴジー2022

    • 著者名/発表者名
      堀川修平
    • 総ページ数
      263
    • 出版者
      エイデル研究所
    • ISBN
      9784871686808
  • [備考] "人間と性"教育研究協議会 設立40周年記念   国際シンポジウム 世界の「性教育」-韓国・中国編-

    • URL

      https://www.seikyokyo.org/ivent/seminar/WSE_KC/index.html

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公開日: 2023-12-25  

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