研究課題/領域番号 |
19H01631
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
佐藤 学 学習院大学, 文学部, 特別任用教授 (70135424)
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研究分担者 |
秋田 喜代美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00242107)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学校改革 / 授業改革 / 授業研究 / 学びの共同体 / 教職専門性の開発 |
研究実績の概要 |
令和元年度においては、研究代表者と分担者で7か国10回以上の訪問調査と改革支援を行うとともに8月5日から8日に学習院大学に おいて開催される世界教育学会10周年記念大会(50か国参加予定)に連動して、研究代表者の佐藤と研究分担者の秋田の主宰によって本研究プロジェクトに関連する「学びの共同体」のプレワークショップ「日本の授業と授業研究」およびシンガポール、イギリス、日本の「学びの共同体」の改革を交流するシンポジウムを開催して世界発信 を行った。さらに(b)10月中旬タイのバンコクで開催されたEDUCA2019(タイ最大の教育イベント、教師3万人参加)の一環として第7回学びの共同体国際会議を開催し、イギリス、シンガポール、中国、台湾、韓国、インドネシア、タイ、ベトナム、日本、メキシコの「学びの共同体の学校改革」についての研究と実践の交流を行った。 なお、令和元年度の研究は重点的に、(a)知識基盤社会に対応した「21世紀型の学校」を標榜した授業における「探究と協同」の意義、(b)学習者を 主人公とする思考探究中心の学びによる学習環境の変革、(c)「教える専門家」から「学びの専門家」への教師像の転換とそれを可能にする「専門家共同体」のあり方について、 各国の研究と実践に即して検討した。特に今年度は、第7回国際会議を開催したタイにおいて国家政策になっている「PLC(Professional Learning Community)政策」と「学びの共同体」との共通性と差異について検証し、本プロジェクト研究の独自性を探究した。 なお、令和2年2月と3月に予定していた中国、台湾の訪問調査と会議は、新型コロナウィルスのため実行できず、中止となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度においては、所期の目標を超えて、世界教育学会10周年記念大会(8月)において、本研究の代表者と研究分担者2人により「日本の授業研究」をテーマとするワークショップが実施されたほか、大会内のシンポジウムにおいても研究代表者と分担者が参加する本研究のテーマによるシンポジウムが行われたこと、さらには9月にアムステルダムで開催された世界授業研究学会大会のエキスパート・セミナーにおいて研究代表者が本研究のテーマで基調講演を行ったことなど、さらにはドイツにおいて本研究テーマによる公開研究会が開催されたことなど、所期の計画を超える実績をあげることができた。また、アジア諸国の中でも中国とインドネシアとタイの3か国における改革は、例年にも増して活況を呈し、研究と実践の両面で期待以上の成果をあげてきた。 にもかかわらず、(2)の評価を付けざるをえないのは、1月以降、新型コロナウィルスの世界規模の拡大により、予定されていた海外の活動のすべてが中止あるいは延期を余儀なくされた結果である。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度においては、研究代表者と分担者で7か国10回以上の訪問調査と改革支援を行うとともに11月6日から9日に学習院大学に おいて予定している第8回学びの共同体国際会議を開催し 、各国の研究と調査データを集約する(予定参加国17か国、参加者500名)。なお、新型コロナウィルスへの対応で、この時期の開催が困難になった場合は、3月に延期して開催する。それでも直接参加による国際会議が困難な場合はネットによる国際会議とする。 なお、本年度は、中国、韓国、台湾、シンガポール、インドネシアを重点的に調査する。その調査の視点は、「学びの共同体」を標榜する学校改革において、(a)「21世紀型の学校」として「探究と協同」がどの程度原理として普及し実践化しているか、(b)学校と教室において一人一人が主人公となる民主主義がどの程度実践化され、学びの質の向上につながっているか、(c)改革を通じて教師の専門的成長がどのようなシステムによって構築されているかの3つの視点である。各国の比較研究により(a)公共性の哲学、(b)民主主義の哲学、(c)卓越性の哲学の認識状況、活動システムとしての(a)対話的コミュニケーション(聴き合う関係)による協同的学び、(b)授業研究による同僚性(collegiality)の構築、(c)学校改革への親の参加(学習参加)の実施状況を検証する。
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