研究課題/領域番号 |
19H01631
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
佐藤 学 学習院大学, 文学部, 客員所員 (70135424)
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研究分担者 |
秋田 喜代美 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (00242107)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 学校改革 / 授業研究 / 学びのイノベーション / 教職専門性の開発 / 学びの共同体 |
研究実績の概要 |
本研究は、アジア諸国を中心に普及している日本発信の「学びの共同体の学校改革」の研究と実践の国際交流を目的としている。本プロジェクトは、2014年以来、研究代表者が継続してきた「学びの共同体の学校改革」の国際交流を行い、その改革の研究と実践の達成度を実証的に評価することを目標として実施された。 その目標追求において、2020年度は新型コロナによって海外渡航と対面式国際会議が不可能となった。さらにどの国においても休校と学びの規制が実施されるという制約に直面することとなった。しかし、さまざまな制約にもかかわらず、本プロジェクトは「21世紀型の授業と学び=探究と協同の学び」を各国の事情に対応して推進し、研究対象とした諸国において期待以上の前進を達成することができた。具体的には、本研究に協力した中国、韓国、台湾、インドネシア、タイ、ベトナム、イギリス、メキシコの諸国において多くのシンポジウムと教師研修ワークショップをオンラインで開催し、新型コロナ下においても「21世紀型の授業と学び=探究と協同の学び」へのイノベーションを推進してきた。また、各国の教育研究者相互のネットワーク、および国際間のネットワークを緊密化し、協同研究の書物と論文の翻訳と刊行も推進してきた。 それらの成果の一つとして、当初10月に予定していた第8回目の国際会議は、年度末の3月に延期せざるを得なかったが、この国際会議には、これまでの国際会議の規模をはるかに超える31か国2100名の研究者、教師が参加した。海外訪問と対面式国際会議を実現できなかったことは大きな制約になったが、もう一方でオンラインによる改革ネットワークへの参加国と参加人数が一挙に増加したことは、今後の前進の貴重な土台作りになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトは、研究代表者が1990年代に創発し2000年代以降、アジア諸国に普及した「学びの共同体の学校改革」の研究と実践の国際交流を促進し、その実証的評価を行うことも目的としている。「学びの共同体の学校改革」は世界的な拡がりを示し、アジア諸国では学校改革の最大の推進力になり、いくつかの国では国家政策もしくは準国家政策として発展してきた。この経緯から、本研究プロジェクトは、授業と学びのイノベーションと教師の研修、学校行政の改革に焦点を合わせて、研究と実践の発展を企図してきた。 2020年度は、突然の新型コロナのパンデミックによって、当初企画していた海外渡航や対面式の国際会議が不可能となり、オンラインによる研究交流と国際会議、シンポジウムや国際会議での講演を余儀なくされた。それらの制約にもかかわらず、一連の国際会議やシンポジウム、および各国の改革と実践は、これまで以上の成果を達成してきた。特に、本プロジェクトの研究ネットワークがオンラインで一挙に拡大し、31か国の2100名を超える国際会議が開催できたことは最大の成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
所期の目標をほとんど達成できたが、新型コロナの制約により海外渡航と対面式の国際会議が開催できなかったことによって不十分にしか達成できなかったことも少なくない。その一つは、春季と秋季に予定していた一連の海外での研究調査と研究交流が実施できず、多くがオンライン会議における代替措置に置き換わったことである。もう一つは、10月に海外で開催を予定していた第8回国際会議を延期して3月に東京でオンラインで開催したため、本プロジェクトに協力する8か国の研究者たちとの研究交流と共同調査が十分に達成できなかったことである。 新型コロナによる国際交流の制約は今後も数年は継続することが想定されるので、2020年度は2か年計画で、国際会議に対応できる技術機材の準備に一定の予算を投入した。その結果、本プロジェクト研究の推進は、この年度の開始時点よりも著しく改善されたが、次年度は、さらにその整備を推進する必要がある。 さらに、本プロジェクトを通じて、日本国内はもとより海外諸国において「学びの共同体の改革」を研究する若手研究者が多数育っている。すでにこの主題で多くの博士論文がアメリカ、イギリス、中国などで執筆され、それらの刊行物も出版され始めている。次年度は、これら若手研究者の研究の支援にも力を傾注したい。
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