研究課題/領域番号 |
19H01632
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
鳥光 美緒子 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (10155608)
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研究分担者 |
野平 慎二 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50243530)
藤井 佳世 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (50454153)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 人間形成 / 自己形成 / アイデンティティ / ビオグラフィー / ライフヒストリー / 学校から職業への移行 |
研究実績の概要 |
1)代表者、分担社の三名で研究打合会を2021年5月1日に行い、当初計画で当該年度に予定していた国際シンポジウムについては、新型コロナ感染下の状況を踏まえ、規模を縮小してオンライ形式で行うこと、その準備のためのオンライン研究会の開催を決定した。 2)2回のオンライン研究会の開催。1回目は2021年8月10日、参加者は研究代表者、分担社の3名。報告者と報告課題は以下の通りである。野平慎二「よしあきさんの読解」、藤井佳世「デジタル社会における仕事と人間形成に関する教育哲学的考察」、鳥光美緒子「仕事の人間形成的意義について」。第2回目の研究会は2021年12月2日に開催。報告者は鳥光、指定討論者に平田仁胤氏(岡山大学)と伊藤敦広氏(昭和女子大学)をお願いした。報告課題は「仕事と人間形成:公務員という仕事の経験をめぐってー3つの事例から見えてくること」であった。 3)2022年3月3日、オンラインにて国際研究会の開催。報告内容は趣旨説明(鳥光)と以下の3つの報告から構成されている。藤井「デジタル社会における仕事と人間形成に関する教育哲学的考察」、野平「想定範囲内での脱中心化―タロウさんのビオグラフィー・インタビューの読解」、鳥光「仕事と人間形成:公務員という仕事―3つの事例の伝記的再構成から見えるものー」。指定討論者として、L.Wigger氏(ドルトムント工科大学元教授)、平田仁胤氏(岡山大学)、伊藤敦広氏(昭和女子大学)の3氏をお願いした。通訳は小林亜未氏(ランダウ大学)に依頼。報告内容(日本語とドイツ語もしくは英語)はあらかじめ指定討論者に送付、当日の討議は、Wigger氏の用意したレジュメを中心に行った。 4)追加インタビューを2件(2021年10月3日、10月7日)、新規インタビューを1件(2021年11月10日と11日)行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の実施自体は順調に推移しているものの、研究活動に見合う成果が上がっているとは言えず、順調に研究が進展しているとは言い難い。要因として、そもそも事例研究はそれ自体時間集約的であること、また教育哲学の領域では経験的研究を視野に入れた研究がほとんどなく、このような研究を学問的研究として認知させることに困難が伴うといった根本的な問題がまず考えられるが、そのこと自体は研究の開始の時点で既に予想されていたことである。現時点での研究の進展を阻害している要因としてとりわけ重要と思われるのは、人間形成をどう捉えるかという、本研究の基底をなす概念に関わる問題である。人間形成概念は事例選択や解読方法に直接影響するものであり、その重要性は夙に自覚されている。実際にこれまでも、この問題に関わる幾つかの研究会やラウンドテーブルなどを行ってきた。それらを通して、個々には、有望な知見も提出されてきたが、それら、個々の知見を精査して、全体として何が言えるのか、本研究の目的に照らしてみて、何が理論的基礎と言えるのかについての議論や検討がなされていない。報告しその場で相互にコメントし合うことにとどまらず、研究目的の達成という観点から、俯瞰的にこれまでの研究成果を精査することが求められている。もちろんこのことは、全員が同じ、理論的立場、同じ方法論に立つということを意味するわけではなく、むしろどこまで相互に合意でき、どのような論点があるのかを明確にすることが求められていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画そのものの大きな変更は不要であると思われる。むしろ重要なのは、個々の研究成果を、本研究の研究目的に照らして俯瞰的に捉えることの重要性という認識を研究代表者、分担者間で共有し、研究の実効性を高めることである。一つ一つの活動計画について、それを単に実施するにとどまらず、その成果についての反省の時間を設け、次の活動に生かしていくよう配慮する。
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