研究課題/領域番号 |
19H01642
|
研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
林嵜 和彦 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (10410531)
|
研究分担者 |
山ノ内 裕子 関西大学, 文学部, 教授 (00388414)
シム チュン・キャット 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (60721446)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 技人国 / カレー / グローバルマイグラント / インバウンド / コロナ禍 / ネパール人 / カースト / 多文化教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、近年急増している在日ネパール人の子どもの教育ニーズと課題とは何かを明らかにすることを目的としている。その際に特に下記の観点に着目している。1) ネパールというエスニシティや国の特性、2) 在留資格や移住や滞在のあり方の特徴、3) 親の教育ニーズ、4) 教育や支援団体への実践的な示唆、の4つである。 2019年度は5人の調査者によってのべ18人の親子にインタビューをおこなってきた。結果として、在留資格や移住の形態から3つのパターンに彼らを分けることができた。ひとつは日本への威信のある大学や大学院への進学の末に日本で就労する高学歴エリートの家族、2つめは日本語の専門学校への留学から、ときに大学を経由して、技・人・国の在留資格で滞在する家族、3つめはカレー屋に就労するパターンである。カレー屋の就労には使用人として技能ビザで滞在する者と独立し経営をはじめるものもいる。いずれのパターンにも家族滞在で妻や子どもの日本での生活がゆるされているが、全員の子どもが滞在許可を簡単にえられるわけではない。 教育のニーズとしては、高学歴エリートの多言語・多文化戦略を頂点として、裕福になるほどそれに近づくニーズをもつ。とくに英語へのニーズはたかく、それが日本の学校への限界とかんじる家族は高階層ほどおおくなる。帰国願望はつよくないが、子どもを英語圏などチャンスがおおい国へといかせたがる傾向もみられる。 ネパールの特徴ではないかもしれないが、差別やいじめ、学校不信などについて言及する人々もすくなくない。夫婦の関係では意思決定において、いくつかの家族で夫の力がよりつよくかんじられた。 ネパールの現地調査はコロナ禍において延期され、本年度においては断念された。まだサンプル数が十分ではなく確定的な知見はえられてはいないが、今後の調査の方向性はみえてきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍、とくに数度にわたる緊急事態宣言のために、調査の継続が困難となっている。またコロナ禍のために飲食業や観光業へのダメージが、おおくのネパール人の就労を直撃しており、コミュニティ全体が危機にひんしており、感染リスクの回避のためだけではなく、調査の依頼もはばかられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、コロナが収束するまでは計画を延期しつづける予定である。その後、ネパールでの調査をふくめ、かれらのグローバルな移動と教育との関連について包括的な視点で調査をおこなっていく。
|