研究課題/領域番号 |
19H01644
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
長島 啓記 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00298449)
|
研究分担者 |
谷口 利律 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, その他(招聘研究員) (20557318)
古阪 肇 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, フェロー (20710536)
吉田 重和 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (30549233)
鴨川 明子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40386545)
佐藤 裕紀 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (60734001)
日暮 トモ子 目白大学, 人間学部, 准教授 (70564904)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 初任者教員 / 教員研修 / 教員養成 / ITP / TALIS |
研究実績の概要 |
初任者教員の育成・支援の一つとしてメンタリング(「経験豊富な教員が経験の少ない教員を学校で支援する体制」)に注目し、OECDによる国際教員指導環境調査(TALIS)2018の結果のうち前期中等学校を取り上げ、その特質を確認し、初任者教員に対するメンタリングの可能性と課題について検討した。 TALIS2018の結果によれば、初任者はより困難な学校に配置されることが多く、学級経営や授業実践に対する不安を抱くことが多い。初任者にとって研修の持つ意義は大きく、多文化教育や特別な学習ニーズを有する生徒に対応できる研修へのニーズが高い。OECD諸国・地域全体でメンターが割り当てられている初任教員は22%に過ぎないが、メンタリングが普及している国・地域もある。中国の上海では、区・県レベルの研修センターの指導の下、市・区レベルの研修指定校、研修拠点、初任者教員着任校などのレベルごとに、複数のメンターが一人の初任者教員をサポートする体制がとられており、離職の回避、教職への適応、専門性の向上につながっている。その一方で、研修に対する意識、指導者(メンター)の確保や質、指導方法については課題が多いとされる。カナダでは初任者研修やメンタリングの位置づけは、州・準州により異なっている。オンタリオ州では、メンタリングを含む初任者研修が州により法制化されており、州教育省が初任者教員導入研修プログラム(NTIP)を策定している。アルバータ州では、州教員協会(ATA)がメンタリング・プログラムを開発・実施している。 また、OECDによる、日本、オーストラリア、オランダ、ノルウェー、ウェールズ、アメリカ、韓国の7か国が参加した初任教員の養成に関する調査(Initial Teacher Preparation Study;ITP)における「初任教員に対する支援」について、概要を整理した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度はマレーシア、デンマーク、オランダ、イギリス、ドイツ、カナダ、中国における初任者教員の育成と支援に関して、現地調査を行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、これらの国への渡航ができないことから、現地調査を断念し、OECDによる国際教員指導環境調査(TALIS)、初任教員の養成に関する調査(ITP)の結果を分析することを研究の中心とした。
|
今後の研究の推進方策 |
OECDの国際教員指導環境調査(TALIS)、初任教員の養成に関する調査(TAP)の結果に関する分析、ドイツ、オランダ、デンマーク、イギリス、カナダ、オーストラリア、マレーシア、中国、日本における初任者教員の育成と支援に関する体制や内容(初任者教員の育成と支援に関する政策・理念、入職後のプログラムの内容・期間、メンタリングなど学校における支援の体制等)についての分析、比較検討を継続する。 状況をみながら、オランダ、デンマーク、カナダ、マレーシア、中国における初任者教員の育成と支援に関する現地調査の可能性を探る。 各国の初任者教員を育成・支援する仕組みの類型化を試み、その特質と課題を明らかにし、初任者教員に対する育成・支援の望ましい在り方を提示したい。
|