研究課題/領域番号 |
19H01647
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
森田 次朗 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (30732862)
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研究分担者 |
亀山 俊朗 中京大学, 現代社会学部, 教授 (70507425)
村上 慎司 金沢大学, 経済学経営学系, 講師 (80584359)
平野 寛弥 目白大学, 人間学部, 准教授 (20438112)
鎮目 真人 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50285508)
時安 邦治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (80386797)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シティズンシップ教育 / 能力の「シビルミニマム」 / コンピテンシー / アクションリサーチ / 学際性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、現代社会におけるグローバル化に伴うシティズンシップの変容に対応した新たな教育プログラムの開発に向け、その基盤となる市民能力像(能力の「シビル・ミニマム」)を、市民自らの日常的で協働的な実践の視点から解明することである。以下では、2019年度の研究実績の概要について説明する。 2019年度の前半(4-9月)では、森田が中心となりフリースクール(京都府)をはじめとする複数の教育施設において、子どもたちが獲得すべきだとされている能力観についてフィールド調査を行った。また、9月にはロンドンで開催された国際学会(The 2019 HDCA Conference、主催:The Human Development and Capability Association)に参加し、シティズンシップ教育の理論的土台となるケイパビリティ・アプローチの最新動向について資料収集を行うと同時に、英国在住の研究者(イーストロンドン大学、UCL、リーズ大学等)と情報交換を行った。 2019年度の後半(10月-翌年3月)では、10月以降、亀山が中心となりシティズンシップ教育に関する文献・文書分析を実施した。具体的には、近年のケイパビリティ・アプローチ(A・セン、M・ヌスバウム等)において、「教育」や「学習」という営みがどのように位置づけられているかについて英語文献を分析し、その成果を森田が論文にまとめた。また、2020年2月には英国でシティズンシップ教育の啓発活動を行う市民団体(ロンドン)と、現地研究者(シェフィールド大学)に対してインタビューを実施し、その成果を国際学会(The 2020 HDCA Conference)で発表すべく、エントリーを行った(2020年4月時点で採択)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
上記のように進捗状況を評価する理由は、2019年度は、1)当初の計画通り、シティズンシップ教育を分析するための理論枠組み(ケイパビリティ・アプローチ)に関する成果を論文としてまとめることができたこと、2)英国でシティズンシップ教育の啓発活動を行う市民団体(ロンドン)と現地研究者(シェフィールド大学、リーズ大学等)にインタビューを実施し、その成果を国際学会(The 2020 HDCA Conference)の報告資料としてまとめられたことがあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の前半(4-9月)では、前年度の調査で得られた理論研究及びフィールド調査の成果を国際学会(The 2020 HDCA Conference:全会オンライン形式)で発表する。また、従来の社会・政治理論の知見と関連づけながら、日本のシティズンシップ教育に関する国内外の先行研究をレビューし、その論点を整理する。 当該年度の後半(10月-翌年3月)では、前年度から引き続き、フリースクール(京都府等)をはじめとする複数の教育施設において、どのような能力観のもと、いかなる学びの活動が実践されているかについてフィールド調査を行う。具体的には、これらの教育現場では、1)カリキュラム・活動上の目標と、学習者のニーズの間で、どのようなジレンマが生じているか、2)こうしたジレンマの解決が、いかなる方法で目指されているかについて比較する。 ただし、以上の研究計画(とくにフィールド調査)は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況により実施が困難となる事態も想定されるため、こうした状況においては、研究者及び研究対象者の健康と安全の確保を最優先し、研究計画を大幅に変更することがある。
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