研究課題/領域番号 |
19H01647
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
森田 次朗 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (30732862)
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研究分担者 |
亀山 俊朗 中京大学, 現代社会学部, 教授 (70507425)
平野 寛弥 目白大学, 人間学部, 准教授 (20438112)
村上 慎司 金沢大学, 経済学経営学系, 講師 (80584359)
時安 邦治 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (80386797)
鎮目 真人 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (50285508)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 生きられたシティズンシップ教育 / 能力の「シビル・ミニマム」 / シティズンシップ教育 / アクションリサーチ / コンピテンシー / 人権教育(HRE) / ケイパビリティ・アプローチ(CA) / 教育/福祉の境界 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、現代社会におけるグローバル化に伴うシティズンシップの変容に対応した新たな教育プログラムの開発に向け、その基盤となる市民能力像(能力の「シビル・ミニマム」)を、市民自らの日常的で協働的な実践の視点から解明することである。以下では、新型コロナウイルス感染症の影響により、計画の変更を余儀なくされた調査の結果も含め、主たる研究実績の概要を説明する。
第一に、感染症拡大の影響により、本科研プロジェクトの根幹をなすフィールド調査の一部を中止・延期せざるをえなかったため、代わって亀山、平野、鎮目の3名が中心となり、シティズンシップ研究の理論枠組みに関する文献研究と政策分析を集中的に実施した。具体的には、2019年度以降のプロジェクトの成果を公表すべく、森田、亀山、平野、村上、時安の5名が、研究協力者の寺田晋氏とともに日本社会学会にエントリーし、「「市民」に必要な能力とは何か」というテーマのもと共同発表を行った。第二に、亀山と森田は、本科研プロジェクトにおける理論研究の成果を、それぞれ、所属先の紀要と『福祉社会学研究』に発表した。とくに森田は、従来の自律的な市民像を再考すべく、「生きづらさの仕分け」という概念を提示し、不登校・欠席研究とケイパビリティアプローチの接続可能性について考察した。第三に、森田は前年度までに実施してきたフリースクール調査の成果を、The HDCA Global Dialogue(Human Development and Capability Association)で発表し、英国をはじめとする海外研究者とのネットワーク構築を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように進捗状況を評価する理由は、当該年度においては、新型コロナウイルス感染症が急激に拡大した影響により、海外を中心とするフィールド調査が、当初の計画通り実施することができなかったからである。
他方で、1)前年度までの研究成果を、国内外の学会(日本社会学会、HDCA Global Dialogue等)で発表できたこと、2)シティズンシップ教育を分析するための理論枠組み(福祉社会学、ケイパビリティ・アプローチ等)の応用可能性を論文としてまとめられたこと、3)英国の海外研究者と国際比較研究の基盤づくりを進められたことは、本研究課題の進展として特筆すべき点である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、以下の2点があげられる。第一に、前年度に続き、日本のシティズンシップ教育の特徴と課題について、従来の社会・政治理論の知見と密接に関連づけながら明らかにし、その結果は国際学会(HDCA Conference、IAHRE Conference等)で発表する予定である。第二に、これまで国内で実施してきたフィールド調査の知見を、海外の事例と比較すべく、海外研究者とのネットワーク構築を推進する。とくに、研究代表の森田が英国に滞在し、人権教育研究やケイパビリティ・アプローチの教育分野における応用可能性について分析を進めていく。
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