研究課題/領域番号 |
19H01649
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10273814)
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研究分担者 |
村知 稔三 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 教授 (00190926)
中沢 葉子 (並河葉子) 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10295743)
井岡 瑞日 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 講師 (20836449)
太田 明 玉川大学, 文学部, 教授 (30261001)
稲井 智義 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (30755244)
吉村 真美 (森本真美) 神戸女子大学, 文学部, 教授 (80263177)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 子どもの権利 / 児童福祉 / 子ども観 / 教育思想 / 教育史 / 児童文化 / 児童虐待 |
研究実績の概要 |
本研究を進めるに当たり、令和2年度は3回のミィーティング(5月25日、9月28日、12月21日:青山学院女子短期大学)と2回の研究会(5月25日:青山学院大学女子短期大学、9月28日:青山学院大学)を実施した。
研究初年度に当たり、文献調査と研究発表・交流を中心に、活動を進めた。太田は子どもの意見表明権を具体化する試みのひとつとしてP4C(Philosophy for Children)に注目し、ドイツとアメリカ(初等教育における取り組みを参観するためにホノルルに渡航した)の実践の比較を試みた。佐藤もまた子どもの哲学を就学前に援用するための実践理論について検討するとともに、現代アメリカのキリスト・ファンダメンタリストの家族観や子育てに関する文献収集を行い、プロテスタント保守主義と子どもの権利との間の軋轢を探る準備をした。森本は「子どもの権利」概念の成立について、子ども研究の領域での動向把握と、エグランタイン・ジェブについての情報収集のための文献購入にとり組んだ。村知はカザフスタンの社会状況と子どもの権利をめぐる状況について調査を進め研究報告としてまとめ、並河はイギリス初等教育における児童の自己決定権を多文化主義の文脈から研究した。井岡はフランスにおける子どもの権利条約と家族政策の展開状況、それと呼応する子どもや家族の生活実態について資料の収集と整理を行うとともに、保育絵本をめぐる母役割についての歴史的考察に取り組んだ。稲井は「日本の子どもの権利思想の歴史と権利保障の現在」をテーマとして、文献資料や映像資料の収集に努めた。
これらの研究については、3月28日・29日に神戸女子大学・兵庫教育大学を会場に予定されていた第4回ミィーティングと研究会によって報告され、研究情報の共有を行う予定であったが新型コロナウイルス感染症拡大のため中止となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は研究資料の調査・収集を中心に研究活動に取り組んだ。3ヶ月に1度のペースで東京に参集して、各人の研究の経過報告、情報・意見交換を行った。 また、世界子ども学研究会でも研究報告を行い、子ども史、文化史、教育社会史、児童文学等に関心を寄せる研究者からの意見を募った。研究成果の一端を論文にまとめ学会誌への投稿を試みたが、残念ながら掲載に至らなかったので、再検討を試みているところである。 海外研究調査として米国(ハワイ州ホノルル)に渡航し、ワイキキ小学校でのp4c(philosophy for children)を参観し、教師にインタビューをした。 世界子ども学研究会のメンバー4名(伊藤敬佑:白百合女子大学非常勤、加藤麻衣子:青山学院大学非常勤、劉冠文:白百合女子大学大学院生、北本正章:青山学院大学名誉教授)を研究協力者として招聘して、研究課題(フランス児童・青年文学に描かれた子どもの権利:伊藤、日系カナダ・アメリカ人強制収容所における子ども時代の研究:加藤、現代台湾における子どもの権利:劉、欧米における子ども史研究の動向調査と本研究のスーパーバイズ:北本)に取り組んでもらった。 3月28日(土)・29日(日)に神戸女子大学・兵庫教育大学で開催するミィーティング及び研究会において、初年度の研究成果の報告ととりまとめを行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス(covid-19)感染症拡大の影響により、中止を余儀なくされた。研究会会場費用及び研究協力者の旅費及び謝金として用意していた約43万円は執行することができず残金となった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス(covid-19)感染症拡大防止策のひとつとして、今年度は Google Classroom や Zoom 等を利用して、オンラインでのミィーティング、研究情報の共有・研究発表や研究協議を行っていく。学会や研究会が軒並み中止となっていることから、オンライン開催が検討されている世界子ども学研究会例会と連携して、研究成果のアウトプットを試みる。 初年度に引き続き、資料や文献の収集を進めると共に、その整理・解読・考察を進め、研究発表・研究論文執筆に向けた準備をしていく。国内外への出張旅費を執行することが難しいことから、子どもの権利や子ども観の社会史等の子どもをめぐる歴史研究に資する大型コレクションの購入についても検討する。 研究協力者(伊藤敬佑、加藤麻衣子、劉冠文、北本正章)には引き続き課題に取り組んでもらうとともに、必要に応じて増員も検討する。オンライン研究会において昨年度と今年度の研究成果が報告される予定である。
オンラインによる研究活動を補助するために、パソコン、タブレット、モバイルWi-Fi 等の情報機器も必要に応じて購入し、共同研究者と研究協力者の間で共有していきたい。
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