研究課題/領域番号 |
19H01654
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
太田 光洋 長野県立大学, 健康発達学部, 教授 (60248664)
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研究分担者 |
加藤 孝士 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (10631723)
原野 明子 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10259210)
中山 智哉 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (00465907)
渡邉 望 長野県立大学, 健康発達学部, 准教授 (40621264)
姫田 知子 四国大学短期大学部, その他部局等, 講師 (30612056)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 保育 / 東日本大震災 / 社会変動 |
研究実績の概要 |
東日本大震災が保育に与えた影響について、情報収集と文献整理、及び予備調査を行った。 情報収集として、福島県、宮城県への実地調査を複数回行い、震災後の地域の様子についての知見を得た。加えて、福島県、宮城県の園長、及び保育者へのインタビュー調査も行い、震災から9年を迎えた現在において、震災の影響を検討するための基礎的資料を得た。これにより、地域の復興状況や変化、保育者の認識の変化等を知ることが出来た。 また、今回のプロジェクトメンバーは、福島県の放射能下の保育について中心的に検討していた。そのため、不足していた震災後の沿岸部の文献整理をし、論文化行った。これにより、震災に関する幅広い知見を得た。 予備調査では、当初、多くの園を対象に、園長、保育者に調査を行う予定だったが、コロナ禍の影響もあり、保育施設が混乱している状況が予測された。そのため、調査協力園を様子が把握できる園に限定し、各園の調査協力者数を増やし調査を行った。加えて、コロナ禍は、今回の研究テーマである社会変動の一つであり、コロナ禍についての現状を把握することが必要となったため、それらの項目を追加した。さらに保護者の子育て環境も大きく変化した可能性があるため、保護者も研究対象として加え、コロナ禍における認識の変化についても検討した。 その結果、福島県の園長、保育者は、「コロナ禍の保育にあたって、それ以前の経験で生かせたことがあったか」といった設問に対して、“東日本大震災後の工夫”や“その際保護者との話し合いを継続した経験”が挙げられるなど、震災後の保育の経験がコロナ禍においても応用されたことが示唆された。また、保護者の調査について、東日本大震災の経験が生かされたという結果は、現在のところ見いだせていない。しかし、今後、細かく分析を重ねることで、コロナ禍と震災の影響の共通点を導いていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査協力者との打ち合わせや予備調査、文献調査を進めるにあたって、東日本大震災の影響は、被害の程度や文化(土地柄)によって大きな違いがあることが示唆された。そのため、インタビュー調査などを重ねるなど、予備調査に多くの時間が必要となった。 加えて、新型コロナウイルス感染症という本研究にも関わる大きな社会変動が起こったため、予備調査に新たな視点を加える必要が出てきた。それらに対応するため、研究の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、調査協力園の状況が不安定なため、予定通り調査を行えるかが不透明である。加えて、今回の研究のテーマが社会変動であることから、コロナ禍の影響も大きく受ける可能性があり、コロナ禍の保育にも言及することも求められている。 これらのことを踏まえつつ、感染者数の変動を注視し、調査協力園と連携をとりながら、調査のタイミングを見極めていく。また、コロナ禍の影響についても言及しつつ調査を行ない、東日本大震災の被災地域と他の地域との比較を行うなどし、本研究課題を解明することを目指す。
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