研究課題/領域番号 |
19H01655
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中川 敦子 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (90188889)
|
研究分担者 |
野村 香代 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 講師 (10467227)
永井 幸代 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30769550)
宮地 泰士 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60444345)
鋤柄 増根 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (80148155)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 注意 / 気質 / 縦断研究 / 乳幼児 / 極低出生体重児 |
研究実績の概要 |
これまで子どもの協調運動発達と気質特性との関連を研究し、特に注意の持続やストレス耐性を示す自己制御性(effortful control)と協調運動機能に正の相関があることを見出してきた。今回、協調運動発達障害群は定型発達群と比べて生後24か月(2歳)からの自己制御性が低く、逆にネガティブ感情やストレスへの過敏性を示す負の情動性(Negative Affect)が高いことが明らかとなった。今回の研究により、子どもの協調運動発達を促していくためには、運動系の活動の推進だけでなく自己制御性の向上や負の情動性の抑制といった子どもの気質特性の発達についても気を配っていく必要があると考えられた。 また、乳幼児を対象に縦断的に行ってきた表情手がかり課題では、月齢6か月と12か月において、ター ゲットがキューと同側に出る条件(一致条件)では、幸福表情に比べ恐怖表情手がかり条件で同側のターゲット検出が有意に速かった。一方、ター ゲットがキューと反対側に出る不一致条件では月齢 12 か月時で、恐怖表情手がかりでは幸福表情に比べ、反対側ターゲットへの注意シフトが有意に減少し、情動覚醒による注意の狭まりが示唆された。覚醒開放課題では、警告音によって、乳幼児期にも反応の促進が示認められた。気質との関連を検討した結果、注意の解放のスムーズさと、なだまりやすさ、負の情動の低さの関連が認められた。一方、社会性発達評価装置を用いて全注視率の縦断的変化を極低出生体重児群と一般児群で比較検討した。前者では、12mで57.5%、18mで68.0%、24mで79.5%と年齢とともに増加傾向が見られたが、後者では、12m時点でも87.3%と高い割合を示しており、18mで87.7%、24mで91.9%となった。分散分析では交互作用が認められ、極低出生体重児群において年齢の単純主効果が有意であった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症対策として外出自粛のため、実験室での研究参加を見合わされる方もおり、またコロナの緊急事態宣言により、質問票の発送を停止した時期もあり、全体的に遅れ気味である
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の一部は、現在も進行中の長期にわたる環境省の大規模縦断調査研究の一環として行われたものである。今後も質問回答の回収は継続され、さらにデータ数を増やしてより詳細な解析を実施していく予定である。発達性協調運動障害の問題は、子どもの年齢があがるにつれより顕在化し、さらに広範囲にわたり影響を及ぼし、かつ、社会参加や対人交流意欲の減退や自尊心の低下につながっていくことが指摘されている。今後は対象児が学校生活を送るようになった時期にも調査を行い、発達性協調運動障害の実態把握や幼児期からの早期支援をより具体的に検討していくことを考えている。 眼球運動計測については、これまでの縦断データをまとめ発表して行く。引き続き、自己制御能力が顕在化してくる3歳半や就学前について気質の発達との関連を検討していく予定である。極低出生体重児群についても発達予後を追う。新型コロナウィルス感染の影響により、研究参加を見合わされる方については、質問紙は継続し、時期が多少ずれても状況を見て研究参加を依頼する。
|