研究課題/領域番号 |
19H01660
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
高橋 秀俊 高知大学, 医学部, 特任教授 (40423222)
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研究分担者 |
上野 佳奈子 明治大学, 理工学部, 専任教授 (10313107)
中村 亨 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任教授(常勤) (80419473)
土田 幸子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 准教授 (90362342)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 生活環境 / 音環境 / 発達障害 / 精神保健 / 神経生理 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、子育てに関わる家族が過ごす日常生活空間における音環境と、家族の聴覚特性(過敏・鈍麻など)が、家族全体のメンタルヘルスに与える影響を明らかにすることを目的とする。子育てをしている日常生活空間の音環境を音センサで測定し、子育てに関わる人の発達特性・感覚特性およびメンタルヘルスの問題との関連について評価した後、音環境保全対策を行い、感覚特性に応じて音環境がメンタルヘルスにどのような影響をもたらすか調べることで、子育てに関わる家族全体のメンタルヘルス改善につながる最適なメンタルヘルス支援対策を提案することを目的とする。 研究代表者が発達障害支援に関わっている東京都大島町の就学前の子どもを持つ家族を主な調査対象として予定していたが、分担研究者の上野らが、室内音環境の計測のためのウエアラブル音センサの測定精度を、従来の騒音計と比較したところ、現段階で入手できるウエアラブル音センサでは十分な精度が得られず、家庭内でウエアラブル音センサを用いた音環境測定は現段階では難しいと考えられた。そのため、音環境の測定は騒音計を設置して行うことが適当と考えられ、騒音計による音環境測定が可能な児童精神科病棟での調査の準備を進めている。分担研究者の土田がこれまで連携してきた三重県の児童精神科病棟において、上野らが音環境保全対策を行い、その前後での音環境調査や感覚特性、アクチグラフによる行動動態の評価を行うため準備を進めている。また、発達障害における感覚の問題に関して、支援者や一般市民の理解が深められるよう、和文総説を執筆し国内外の学会でも発表し、保育園で保育士向けの講座・ワークショップも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者が国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)から、高知大学 医学部 寄附講座 児童青年期精神医学の開設に伴い異動し、高知大学医学部附属病院子どものこころ診療部の患者受け入れを2年ぶりに再開し、今後の調査対象を東京都大島町だけでなく高知県で協力の得られた地域も含める準備を行っているため。 また、現在入手可能なウエアラブル音環境センサの測定精度が騒音計に比べて劣り、ウエアラブル音環境センサを用いた家庭内での日常生活の音環境測定が難しく、三重県の児童精神科病棟において調査を実施することとしたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後新規のウエアラブル音センサが開発されれば、精度を確認した上で研究利用の可否について適宜検討していき、東京都大島町や高知県で協力の得られた家族に対して調査を実施する。また、騒音計を設置して音環境を測定できる児童精神科病棟あるいは児童入所施設等での実施についても準備を進めていく。児童精神科病棟や児童入所施設では、家族機能が脆弱は児童が閉ざされた空間の中で長期間にわたり生活することが多い。このような施設において音環境保全対策を行うことで、子どものケアに日常的にスタッフや子どものメンタルヘルスにもたらす影響を評価することで、児童虐待のリスクの高い家庭の生活環境上の工夫や配慮の提案につながるものと期待できる。
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