研究課題/領域番号 |
19H01673
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
宇都宮 明子 島根大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (40611546)
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研究分担者 |
上杉 嘉見 東京学芸大学, 次世代教育研究センター, 准教授 (10451981)
原田 信之 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (20345771)
二井 正浩 成蹊大学, 経済学部, 教授 (20353378)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歴史教師のビリーフ / 歴史教育学研究 / 一般教育学研究 / 国際比較研究 |
研究実績の概要 |
本年度は最終年度であり、昨年度に実施した日本・スイス・カナダ三か国の歴史教師のビリーフ調査の集計、統計処理、分析、評価といった一連の総括的研究を実施した。その結果、三か国の歴史教師のビリーフは大きく相違することが判明した。 日本の歴史教師のビリーフは、史資料に基づいて過去がどのようであったのかを因果関係から理解する実証主義の立場を採り、この理解した過去の事実を現在の諸問題や未来の方向性を考察するために活かすものと捉えている傾向性を示した。スイスの歴史教師のビリーフは、歴史とは個人的な見解、それぞれの解釈であるという懐疑主義の立場を採用し、作成者の視点を史資料から読み取り、自身も歴史学の研究方法に基づいて史資料を読解して歴史解釈を形成するものと捉える傾向性を持つ。カナダの歴史教師のビリーフは、歴史は史資料を基盤として再構築するものであるという語り的構成主義の立場であり、歴史学的な概念や理論よりも、現代的な問題関心や未来の方向性から過去を説明し、表現することを重視する傾向性が高いことが分かった。 以上の三か国の歴史教師のビリーフの特徴から想定される歴史教育から、三か国ともに主体的、対話的で深い学びを通した資質・能力の育成が確実に保証されているわけではないが、日本の歴史教師のビリーフの傾向性では歴史的事実の理解にとどまるために、資質・能力志向への転換に向けて、三か国の中で最も困難な現状にあるという厳しい結果が明らかとなった。資質・能力志向への転換を図る今日の教育改革において、内容志向から脱却する歴史教師の意識変革こそが、切実かつ喫緊の課題であることが判明した。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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