研究課題/領域番号 |
19H01688
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安部 有紀子 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 准教授 (30553416)
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研究分担者 |
杉本 和弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (30397921)
望月 由起 日本大学, 文理学部, 教授 (50377115)
蝶 慎一 広島大学, 高等教育研究開発センター, 助教 (50781548)
植松 希世子 横浜国立大学, 国際戦略推進機構, 特任教員(助教) (50853652)
日暮 トモ子 目白大学, 人間学部, 准教授 (70564904)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高等教育 / 学生寮 / 学寮プログラム / 学寮ベースの学習コミュニティ / コ・カリキュラム / 学習成果 / 質保証 |
研究実績の概要 |
本研究課題においては、文献調査として、主に米国、カナダの学生寮に関する先行研究の整理を行い、学習者中心の大学教育改革の中で、学習コミュニティの概念と定義の中で学寮ベースの学習コミュニティ(Living Leaning Communitity)が取り上げられたことをきっかけに、急速に学寮プログラム改革が拡大していった諸相を明らかにした。 この結果をもとに、米国ワシントン大学、カナダブリティッシュコロンビア大学における学生寮と学寮プログラムを対象にした実地調査を実施した。 また、国内の学寮プログラムの調査として、立命館アジア太平洋大学のAPハウスを事例に、スーパーグローバルを契機に始まった学寮改革として、オナーズプログラムと学寮生活、コ・カリキュラムを融合させたプログラムの開発に取り組んだ経緯と、その中核にあった学生寮の取り組みを通じた人材育成像の確立とそのアセスメントの諸相について、参与観察、担当者および学生スタッフへのインタビュー、資料収集を実施した。また、豊橋技術科学大学のグローバルハウスにおける質保証の取り組みについて、分析を行い、その結果について、それぞれ国内外の学会において報告を行った。 さらに、東アジアにおいても、韓国、台湾、シンガポールの大学における学生寮の実地調査を行い、その結果、東アジアにおいては、一部英国式のカレッジモデルの学生寮と、米国式のプログラムモデルが混在している状況が明らかとなったが、特に韓国では日本と同様に、近年、米国式のプログラムモデルへへと移行している状況が確認できた。また、完全に源流となっているモデルをそのまま展開するのではなく、それぞれの国の文化的、また政策的な動向により、それぞれの国で独自モデルが形成されていることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東アジアおよび米国、国内調査と、比較的渡航しやすかった国への調査を重点的に行うことができ、各国の学生寮の比較分析が順調に進んでいる。また、現地調査を行った成果として、現地の学寮担当の教職員のうち、博士号を有する研究者とのつながりが構築でき、国際共同研究の検討も始まっている。 国内でも、学寮担当者同士の研鑽の場を作ることに注力し、月に1度の研究会を基盤に、それぞれの取り組みや海外の情報の共有をすすめられるようになり、実践者から研究分析結果に対して、実践的なアイデアを得ることができるようになった。その成果として、いくつかの大学において、質保証モデルの開発試行を実施するこへと繋がっている。
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今後の研究の推進方策 |
学生寮における質保証の取り組みが最も進んでいることが確認された米国のモデルを参考に、日本の学生寮の課題である学問領域と学寮生活、コ・カリキュラムの「統合」を促進するために、学生の学習成果を基盤においた学寮プログラムのモデルを開発し、協力者の大学において試行を行う。また、引き続き米国、東アジア、欧州の大学調査を実施することで、より多様な学寮プログラムのあり方を明らかにする。 また、新たな課題として、教育的な学寮プログラムの充実化を図るうえで必要不可欠な「学生スタッフ」を配置する学術的な意義と、その養成方法について、実践的な標準モデルを開発し、日本の高等教育における学寮プログラムの充実化に貢献していくことになった。
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