研究課題/領域番号 |
19H01690
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西谷 元 広島大学, 社会科学研究科, 教授 (80208181)
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研究分担者 |
東矢 光代 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (00295289)
金子 慎治 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00346529)
川田 恵介 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (40622345)
大膳 司 広島大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (60188464)
北出 慶子 立命館大学, 文学部, 教授 (60368008)
池田 佳子 関西大学, 国際部, 教授 (90447847)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | BEVI / 異文化間能力 / クリティカル・シンキング / グローバル・コンピテンシー / グローバル人材 / 留学 / EBPM / 異文化交流 |
研究実績の概要 |
グローバル化推進のため、近年、海外留学プログラムを充実し、海外派遣学生数を大幅に増加させる大学が増えている。多様な形態の留学 (語学・異文化学習・交換/長期・短期)が実施されるに従い、派遣学生の学修成果の可視化また留学プログラム自体の効果の客観的分析の必要性が各大学において高まってきている。 本研究では、規模/バックグラウンドも異なる、国立/私立4大学からの約4万件の大規模個票・パネルデータを利用し、多様な海外留学プログラムが学生に与えたインパクトを、定量的及び定性的手法により明らかにする。 グローバル・コンピテンシーの客観的測定を行うテスト、BEVI(日本語版及び英語版BEVI)を、広島大学の単位認定を伴う派遣学生全員また国際センターが実施する3ヶ月以上の受入プログラム全員を対象に実施し、同時に対象群として全一年生(約2,500人)にBEVIを受検させた。 それにより、グローバル・コンピテンシーの一部と考えられる、国際通用性、異文化理解などに関わるBEVI尺度の変化を把握した。1年生全員を対象として、BEVIを実施したことにより、各学部間の差異(特に人文社会学系学部と理系学部)、また留学プログラムへの参加者と非参加者の相違、プログラム参加者内のサブグループ(男女、これまでの経験等)による差異、留学プログラム間の影響力の差異またこれら学生のプログラム前後の変化量・変化傾向の相違を明らかにすることができた。 BEVI測定データを活用することにより、1)日本人学生の海外派遣割合、2)全学生に占める留学生割合などのアウトプットが、グローバル人材育成というアウトカムに影響を与えたかを客観的に評価できるかを検証した。当然のことながら、プログラムにより、学生に生じさせる変化量また方向性には大きな違いがあるが、多数のプログラムにおいてグローバル人材に関連する指標・尺度が上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた数以上のパネルデータを収集するとともに、その分析・比較を実施することができた。またその結果を30件を超える論文、学会などにおいて発表した。 広島大学においては、対象群データとするため、全1年生を対象にBEVIを実施(回収率90パーセント)した(4月及び10月に実施、T1データ)。またBEVIを単位認定を伴う派遣学生全員、また国際センターが実施する3ヶ月以上の受入プログラム全員に対して、BEVIを実施した。1年次対象プログラムについては、上記全学生データをプログラム開始のデータとして用いるとともに、プログラム終了後(9月)にT2データを収集した(約300名)。2年次以降の学生を対象とするプログラムについては、プログラム開始にBEVIを実施するとともに(T1データ)、各プログラムの終了後にBEVIを実施した(T2データ) 全学のプログラムを対象とする調査を実施することにより、2019年度には、広島大学において計3241件のデータを収集した。また他大学においても、琉球大学(497)、関西大学(579)、立命館大学(95)のデータを収集した。 対照群としての全1年生のデータについては、各学部、学科ごとの分析を行い、各学部間の差異を明らかにした。また、留学プログラムについては、国際通用性、異文化理解などに関わるコンピテンシー・能力の変化が起こっていることを明らかにした。同時に、広島大学の1年生また各学部別データを、研究者間で共有することにより、この参考データとの比較において、どのような学生が各大学のプログラムに参加し、どのように変化したのかを大局的に分析することができた。 分析結果を研究者間において比較・検討するとともに、パデュー、デューク、ブリティッシュ・コロンビア、シドニー等各国のトップ大学との、プログラムレベルでの比較・検証を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度も引き続き、各大学の留学プログラムにおいてデータの収集を続けるとともに、コントロール群としてより幅広い教育プログラムにおいて多様なデータを収集する。そのため、共同ワークショップを複数回開催し、テスト結果とともに実施のための知見を共有する。 定性的調査も実施し、BEVIが提供する定量的データと定性的データの相関を、統計的に検討する。大学間また学生間において大きく異なる属性(両親の教育程度、過去の海外留学経験、収入等)に関するデータも同時に収集しているため、これらのデータを利用した分析を行う。 また、海外協力大学でも、英語版BEVIを利用し、得られたデータの利用して、日本人学生との比較研究を実施する。
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