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2020 年度 実績報告書

自閉症のコミュニケーション障害に対する自閉的共感の多角的検討

研究課題

研究課題/領域番号 19H01699
研究機関金沢大学

研究代表者

大井 学  金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (70116911)

研究分担者 藤野 博  東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (00248270)
高木 智世  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00361296)
日戸 由刈  相模女子大学, 人間社会学部, 教授 (40827797)
米田 英嗣  青山学院大学, 教育人間科学部, 准教授 (50711595)
田中 早苗  金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任助教 (80811372)
合崎 京子  東京学芸大学, 連合学校教育学研究科, 日本学術振興会特別研究員PD (70867936)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード自閉的共感 / 語用障害 / 意味障害 / 会話
研究実績の概要

1)ASD者のコロケーション誤用の生起の確認及び外国語学習者のコロケーション誤用との比較を行った。18歳以上(18~40歳)のASD群12名と対照群12名が一定の条件を満たした会話相手と行った30分間にわたる会話を分析した。対照群では誤用が見られなかったのに対し,ASD群の内11名から計25個のコロケーション誤用が抽出され,抽出されなかった1名は発話量が少なく、誤用には発話量も関係していると思われた。それぞれの誤用の想定される正用表現を求め,分類語彙表増補改訂版(2004)を用い誤用と正用の類似度を調べた。ASD群では,外国語学習者に比べ類似度が低い誤りが多く,視覚的イメージに依存しやすいことや文脈の処理が定型発達者とは異なることが示唆された。また重複,造語,過剰,省略表現は外国語学習者には見られず,成人ASD者では外国語学習者のコロケーション誤用とは異なる特徴を示した。
2)自閉症スペクトラム障害者(ASD者)が示した25個のコロケーション誤用と,さらにコロケーション誤用が認められなかった定型発達者(TD者)の会話サンプルより抽出した25個のコロケーションの正用について,それぞれ5件法を用い,表現の適切性についての評定をASD者及びTD者に行ってもらった。その結果,両群間では,誤用は有意な差が認められたが,正用では有意な差はみられなかった。また,両群内では誤用と正用の間で有意差が認められた。ASD者はASD者が犯したコロケーション誤用をTD者に比し適切と判断したことが示された。またASD群は年齢と評定平均値の間で負の相関を認め,年齢が高いと誤用を不適切と判断する度合いが高いことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Covid-19の感染拡大により参加者の対面を要するデータ収集が行えず、自閉症児者同士の会話及び自閉症児者と定型発達児者との会話のデータをほとんど得ることができなかった。

今後の研究の推進方策

Covid-19の感染状況が収束した場合は対面での調査を実施し、仮に収束が見込めない場合はリモートでの会話場面のデータ集などを検討する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 自閉症スペクトラム障害のある成人におけるコロケーション誤用生起とその特異性についての検討.2021

    • 著者名/発表者名
      福田純子,平谷美智夫,三浦優生,大井 学
    • 雑誌名

      コミュニケーション障害学

      巻: 38 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 自閉症者のコロケーション誤用に対する自閉症者の認容性.2021

    • 著者名/発表者名
      福田純子,平谷美智夫,三浦優生,大井 学
    • 雑誌名

      コミュニケーション障害学

      巻: 38 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 物語理解における時空間となつかしさ.2021

    • 著者名/発表者名
      米田英嗣・西田マリア
    • 雑誌名

      心理学評論

      巻: 64 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [学会発表] 学齢期のASD児同士で雑談は楽しめるのか?(2)-発達的変化の検討-2021

    • 著者名/発表者名
      日戸由刈・藤野 博・武部正明・米田英嗣・大井 学
    • 学会等名
      日本発達心理学会第32回大会(2021年3月)ポスター発表
  • [学会発表] ASD児の言葉の好みと認知特性2021

    • 著者名/発表者名
      藤野博・松井智子・東條吉邦・計野浩一郎
    • 学会等名
      日本発達心理学会第32回大会
  • [学会発表] 言語習得の心理・神経基盤および教育への応用2020

    • 著者名/発表者名
      米田英嗣
    • 学会等名
      日本心理学会第84回大会
  • [学会発表] 自閉症スペクトラム指数(AQ)が高い成人ほど語用障害と意味障害に対する認容性が高い2020

    • 著者名/発表者名
      大井 学・水谷柳子
    • 学会等名
      日本コミュニケーション障害学会第46回学術講演会
  • [学会発表] 相互行為秩序と間主観性:定形発達児・非定形発達児の相互行為2020

    • 著者名/発表者名
      高木智世
    • 学会等名
      日本語用論学会第23回大会 シンポジウム:会話分析の基軸と展開.
    • 招待講演
  • [図書] 子どもの「コミュ障」:発達障害のもう一つの顔2020

    • 著者名/発表者名
      大井 学
    • 総ページ数
      129
    • 出版者
      金子書房
    • ISBN
      978-4-7608-2430-4
  • [図書] 利他性を導く多様な共感性(亀田達也「モラルの起源」についての書評シンポジウム). 児童心理学の進歩20202020

    • 著者名/発表者名
      米田英嗣
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      金子書房
    • ISBN
      978-4760899609

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公開日: 2021-12-27  

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