研究課題
13歳から18歳(平均年齢15.53歳,SD1.80)の男子15名と女子17名,計32名の定型発達(TD)児(AQ得点平均14.60,SD6.75)と,12歳から18歳(平均年齢15.65歳,SD2.14)の男子19名と女子4名,計23名の自閉スペクトラム症(ASD)児(AQ得点平均25.35,SD7.43)が研究に参加した。これらの子どもたちに、Communication Checklist-Adult(CC-A)の語用障害項目27についての「問題であるか」「問題ではないか」の5段階評定と、ASDの成人で見られたコロケーション誤用25個についての「適切である」「適切ではない」の5段階評定を求めた。その結果、語用障害の評定ではAQ得点との間でTD児で有意ではない弱い正の相関が、ASD児では中程度の有意な負の相関が見られた。AQ得点が高いとTD児では語用障害を問題ではないとみなす傾向があり、逆にASD児では問題であるとみなす程度が高かった。またTD児に比べASD児の方が語用障害を問題とみなす度合は低かった。コロケーション誤用についての評定ではTD児においてAQ得点と評定値との間に有意ではない弱い正の相関が見られた。ASD児では相関はなかった。ASD児とTD児との間で評定値の差はなかった。語用障害の評定においてASD児とTD児とで有意な落差が見られたことは臨床的に注目すべき点である。ASD児が問題でないと思っている語用障害をTD児が問題と思う局面では、両者の間にコミュニケーション上の軋轢が生じるリスクが高まる恐れがある。これはすでに得られている成人の研究結果とは大きく異なっている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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コミュニケーション障害学
巻: 39 ページ: 印刷中
子ども教育研究
巻: 14 ページ: 61-66
巻: 38 ページ: 194-201