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2020 年度 実績報告書

東日本大震災後に誕生した子どもとその家庭への縦断的支援研究

研究課題

研究課題/領域番号 19H01704
研究機関岩手医科大学

研究代表者

八木 淳子  岩手医科大学, 医学部, 教授 (80636035)

研究分担者 桝屋 二郎  東京医科大学, 医学部, 准教授 (70349504)
福地 成 (福地成)  東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50641958)
松浦 直己  三重大学, 教育学部, 教授 (20452518)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード東日本大震災 / トラウマ / 母子メンタルヘルス / 早期発見・早期支援 / 発達障害
研究実績の概要

本研究の中核である対面による面接調査については、COVID-19感染症の2波・第3波の影響下において、参加家庭の安全面等を最優先に考慮し、所属機関の研究規定、面接調査員の協力取得不可という事情を鑑み、中止せざるを得ない状況であった。次善の策としてCOVID-19の感染状況をみながら、質問紙の郵送によるアンケート調査を当面の対応として実施することとした。その後、年度の後半において一時的に感染状況が落ち着いた期間を見計らい、岩手・宮城・福島の各県の感染状況に合わせて面接調査を可能な限り実施することを試み、中断を繰り返しながら遂行した。
先行して実施したアンケート調査の補足率は76%を維持し、前回調査時とほぼ同等の結果で推移した。アンケートの内容は、子どもの行動と情緒の問題や子どもと保護者のメンタルヘルスについて確実に追跡するとともに、コロナ禍での生活の変化やメンタルヘルスへの影響を把握するための項目を追加して実施した。COVID-19 感染拡大が被災地においてはどのような影響を及ぼすのかについて、多角的な分析を進めて明らかにすることは、未曾有の2つの災禍(大震災、コロナ禍)に見舞われて成長する子どもとその保護者をどのように支えるか、という視点でも極めて重要なことと考えられた。「新型コロナアンケート」実施方法は、感染状況への配慮と経年変化を負うことを念頭にWeb上で行うよう工夫し、グーグルフォームを利用して対象児童とその保護者の生活状況の変化と支援のニーズを詳細かつ速やかに把握するよう努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19感染症、第2波・第3波の影響を受け、研究の中核である対面による面接調査については、所属機関の研究規定、面接調査員の協力取得不可、参加家庭の安全面等を考慮し中止せざるを得ない状況となり、質問紙の郵送によるアンケート調査のみを先行する形となった。対面による面接調査の実施時期について、感染状況をみながら検討したため、調査の実施そのものに時間を要した上、結果として予定した対面調査をすべて実施するに至らず、年度内のデータ解析や学会発表などの成果につながらなかったため。

今後の研究の推進方策

COVID-19の感染流行がどのように推移するかは不測の状況ではあるが、感染状況を注視しながら調査対象家庭の安全と心理的安心を最優先に考慮し、引き続きアンケート調査および面接調査を継続できるよう、万全の「コロナ感染対策」を講じた上でフォローアップに努める。
コロナ禍にある対象児童とその保護者のメンタルヘルスニーズの速やかな把握と対応のためには、オンラインを利用した双方向性のツールの開発等、新たなコミュニケーションの方法を模索する必要がある。
同時に、集積したアンケート調査・面接調査で得た検査結果の解析を進め、積極的に成果発表を行っていく。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 【いじめと精神医学】いじめ被害を受けた児童思春期の子どもへのケア2021

    • 著者名/発表者名
      八木淳子
    • 雑誌名

      精神医学

      巻: 63(2) ページ: 219-227

    • DOI

      10.11477/mf.1405206279

  • [雑誌論文] 成人期の抑うつ症状に及ぼす幼少期の虐待の複数要因の複合効果(Complex Effect of Multiple Factors of Victimization in Childhood on Depressive Symptoms in Adulthood)2021

    • 著者名/発表者名
      石井義隆,桝屋二郎,井上 猛.
    • 雑誌名

      東京医科大学雑誌

      巻: 79(1) ページ: 87-88

  • [雑誌論文] 日本における新型コロナウイルス感染拡大が子どもたちの心身に及ぼしたさまざまな影響2021

    • 著者名/発表者名
      福地 成,小林 穂高,北山 真次.
    • 雑誌名

      日本小児心身医学会災害対策委員会 子どもの心とからだ

      巻: 29(4) ページ: 438-440

  • [雑誌論文] 大災害後中長期の子どものこころのケア 多層的ケアシステムの構築と専門治療2020

    • 著者名/発表者名
      八木淳子
    • 雑誌名

      北海道児童青年精神保健学会会誌

      巻: (34) ページ: 1-16

  • [雑誌論文] Factors related to long-term outcomes of children's behavior problems after the Great East Japan Earthquake and Tsunami - Follow-up survey in Iwate Prefecture -.2020

    • 著者名/発表者名
      Ono S, Yagi J, Fukumoto K, Yoshioka Y, Otsuka K.
    • 雑誌名

      Journal of Iwate Medical Association.

      巻: 72(4) ページ: 157-170

  • [雑誌論文] 【児童・青年期の精神疾患治療ハンドブック】分離不安症 分離不安症2020

    • 著者名/発表者名
      八木淳子
    • 雑誌名

      精神科治療学

      巻: 35(増刊号) ページ: 220-223

  • [雑誌論文] 【発達障害とトラウマ関連障害の架け橋-「見分ける」から「みたてる」へ-】大災害後の長期経過で顕在化する子どものトラウマと発達に関する複雑な問題の実相2020

    • 著者名/発表者名
      八木淳子
    • 雑誌名

      トラウマティック・ストレス

      巻: 18(1) ページ: 38-46

  • [雑誌論文] Structural equation modeling approach to explore the influence of childhood maltreatment in adults.2020

    • 著者名/発表者名
      Toyoshima K, Inoue T, Masuya J, Fujimura Y, Higashi S, Tanabe H, Kusumi I.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: (10) ページ: 1-15

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0266226

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 福島県における震災後の子どもたちのこころの支援「東日本大震災後に誕生した子どもたちとその母親に対する追跡研究」について2020

    • 著者名/発表者名
      桝屋 二郎, 八木 淳子, 福地 成, 松浦 直己.
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌

      巻: 2020特別号 ページ: S536

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 【災害とメンタルヘルス】大規模災害における子どもたちのこころのケア2020

    • 著者名/発表者名
      桝屋二郎
    • 雑誌名

      心と社会

      巻: 51(2) ページ: 18-22

  • [雑誌論文] 【近年の自然災害から学ぶ精神保健医療の実際-身近な地域での災害発生に備えて-】東日本大震災を通して考える災害での支援と受援 宮城での経験から.2020

    • 著者名/発表者名
      松本 和紀,林 みづ穂,小原 聡子,福地 成,原 敬造.
    • 雑誌名

      精神神経学雑誌

      巻: 122(5) ページ: 386-393

    • 査読あり
  • [雑誌論文] いま地域でできる災害準備とは何か 子どものためのサイコロジカル・ファースト・エイド(Psychological First Aid for Children)の研修の意義.2020

    • 著者名/発表者名
      小林 穂高,福地 成.
    • 雑誌名

      小児の精神と神経

      巻: 60(1) ページ: 51-57

    • DOI

      10.24782/jsppn.60.1_51

  • [雑誌論文] Psychoeducation for children in a psychiatric ward in the immediate aftermath of the 2011 earthquake and tsunami in Japan.2020

    • 著者名/発表者名
      Naru Fukuchi.
    • 雑誌名

      Intervention-Journal of Mental Health and Psychological Support in Conflict Affected Areas.

      巻: 18(1) ページ: 85-91

    • DOI

      10.4103/INTV.INTV_39_19

  • [学会発表] 東日本大震災後の母子のメンタルヘルス~「みちのくこどもコホート」から見える被災地の今~「みちのくこどもコホート(MiCCa GEJE)」研究の概要と進捗状況について.2020

    • 著者名/発表者名
      八木淳子,山家 健仁,吉岡 靖史,柿坂 佳菜恵.
    • 学会等名
      第19回日本トラウマティック・ストレス学会
  • [学会発表] 児童青年領域におけるレジストリの構築.「みちのくこどもコホート」研究がめざすもの―東日本大震災被災地での長期的観察と支援の意義―.2020

    • 著者名/発表者名
      八木淳子,桝屋二郎,福地成,松浦直己.
    • 学会等名
      第61回日本児童青年精神医学会総会
  • [学会発表] 東日本大震災後1年間に出産・育児を行った母親の自殺の危険性の検討.2020

    • 著者名/発表者名
      吉岡靖史,山家健仁,内出 希,柿坂佳菜恵,藤原 碧,松尾菜津美,八木淳子.
    • 学会等名
      第61回日本児童青年精神医学会
  • [学会発表] 逆境体験が子どもの発達に及ぼす影響と回復への介入~母子支援に生かすトラウマインフォームドケアの視点~.2020

    • 著者名/発表者名
      八木淳子.
    • 学会等名
      岩手県立病院医学会分科会
  • [図書] 東日本大震災とこころのケア 被災地支援10年の軌跡 こころの科学Special Issue2021

    • 著者名/発表者名
      前田正治,松本和紀,八木淳子
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      978-4-535-90461-3
  • [図書] 子どものトラウマとPTSDの治療2021

    • 著者名/発表者名
      亀岡智美,飛鳥井 望,八木淳子
    • 総ページ数
      206
    • 出版者
      誠信書房
    • ISBN
      978-4-8058-8192-7
  • [図書] 教室で出来る気になる子への認知行動療法 実践ワーク編2020

    • 著者名/発表者名
      松浦直己(単著)
    • 総ページ数
      176
    • 出版者
      中央法規出版
    • ISBN
      978-4-8058-8192-7

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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