研究課題/領域番号 |
19H01705
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村田 真 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任教授 (60835023)
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研究分担者 |
若宮 英司 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (20426654)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 分かち書き / 文節間改行レイアウト / CSS |
研究実績の概要 |
第一に、分かち書きのルールを実際の国語教科書をもとに調査し、形態素解析エンジン(MeCab)を用いてこのルールに従った自動分かち書きを実装した。また、名詞・動詞と助詞との間でも分割するという分かち書きルールを独自に実装した。プログラムは、関数型言語で最初に実装したが、広範囲に提供することを考えて有限会社サイパックに業務委託してC++で再実装した。この分かち書きプログラムはソースコードが誰にでも使えるライセンスで公開した。
第二に、自動分かち書きと文節間改行をWebにどう取り込むかを検討した。最初の方針では、自動分かち書きと文節間改行の候補位置をあらかじめHTML文書に埋めこんでおく方式だけを考えていた。その後、リボアルテクノロジーに業務委託し、W3CのCSS Text Level 4仕様書(現在はワーキングドラフト)に導入した。このときW3Cの他の参加者からの要望により、あらかじめ候補位置を埋め込んでおく方式のほかに、実行時に形態素解析によって決める方式を追加することになった。なお、CSS Text Level 4のワーキングドラフトは誰にでも参照可能である。
第三に、分かち書きが学習障害をもつ児童にとっての読みやすさにどう影響するかの予備実験を行った。この予備実験では、簡単な一つの文に絞り、高学年で学習障害をもつ児童を対象として、時間測定と眼球運動計測を行った。実験に用いた短文が対象児童には簡単すぎ易しすぎたためか、分かち書きによって読みやすくなるという傾向は確認できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分かち書きの実装については計画通り、Webへの取り込みについては計画をやや上回っているが、分かち書きが学習障害をもつ児童にとっての読みやすさにどう影響するかの実験についてはやや遅れている。全体としては、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
分かち書き、文節間改行レイアウトが、読みやすさにどう影響するかの実験については、被験者年齢を下げる、視線が停留する場所が多くなると思われる長文を用いる等のパラメータを変えて実験をする予定である。懸念としては、コロナの影響のため被験者の参加が十分に得られない可能性がある。
自動分かち書きのWebへの取り込みについては引き続き進める。テストデータの整備も必要である。
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