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2020 年度 実績報告書

プリントディスアビリティにも対処できるデジタル時代の日本語レイアウト

研究課題

研究課題/領域番号 19H01705
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

村田 真  慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任教授 (60835023)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード分かち書き / 眼球運動 / 固視時間 / 日本語レイアウト / サッカード
研究実績の概要

初年度はコロナの影響もあって数人についての予備実験にとどまったが、二年目は本格的な実験を行うことができた。普通の表記、文節単位の分かち書き表記、さらに助詞の前でも分ける分かち書き表記、文節ごとに階段状に字下げを行う表記について比較評価した。20の課題文について、これらの4つの表記のサンプルを準備した。被験者は、小学4~6年生のLDセンター学習クラスに通所する学習障害の児童21名である。

実験結果の解析はまだ完了していないが、学習障害にとっての分かち書きの読みやすさに関していくつかの興味深い事実が分かっている。■レイアウトによって、読み速度や読んでいる際の眼球運動に違いがある。■平均固視時間が短く、視線の移動回数が少ないのは、文節単位の分ち書きのレイアウト(統計的に有意差はないが読み速度も速くなる)。■さらに助詞の前でも分ける分ち書きでは、一回の固視でとらえる文字数が少ないので、平均固視時間は少なくて済むが、たくさんのチャンクを捉えるのに多くの視線移動を要し、読むのに時間がかかっていると考えられる。■文節ごとに階段状に字下げを行う表記では、今回の対象ではズレを認識できていない可能性がある。文節分ち書きで効果が出ているので、理論的には切れ目を分かるように示せば効果は出る可能性がある。■被験者によってばらつきが大きい。■読み手の特性に合わせたレイアウトを選択できることが望ましい

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナによってやや遅れたが、今年度には設備・被験者・実験者・課題制作方法などすべてが整ったと考えている。読字障害などのプリントディスアビリティを抱えた人にとってどのような日本語レイアウトが読みやすいかについて、従来は散発的かつ主観的な報告しかなかったが、客観的なデータを安定して提供できるようになったことの意味は大きい。

関係各位の協力により、すでに日本語文書の自動分かち書きは、W3Cの仕様ドラフトに取り込まれている。ルビ表示の切り替え、縦書き・横書き切り替えについても同様である。実験によって、意義が証明できれば、実装が進むだろうと考えている。

今後の研究の推進方策

確立した実験体制があるので、今後はさらに実験対象を広げる。具体的には、文節途中改行の有無、ルビ表示の切り替え、縦書き・横書き切り替えなどについて、より多くの被験者に加わってもらって実験を進める予定である。また、実験結果を解析するプログラムも一部自作して、視線の逆行についての分析をする予定である。

今年度の実験で得られた結果をいくつかの論文にまとめて公開することも、今後は積極的に行っていく。

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公開日: 2021-12-27  

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