研究課題/領域番号 |
19H01707
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 崇 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20360878)
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研究分担者 |
中島 寿宏 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (10611535)
姫野 完治 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (30359559)
川田 学 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80403765)
小泉 匡弘 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80734839)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 授業カンファレンス / ファシリテーション / 模擬授業 / 研究授業 / 教師 |
研究実績の概要 |
本研究課題には2つの目的がある。第一の目的は,学習者間の話し合い過程や教師によるファシリテーション行動を的確に検討できる授業カンファレンス・システムの構築である。小グループでの話し合い活動という特性やそこで教師に求められるファシリテーション能力の特徴を背景とした授業記録の方法を提案することが具体的な目標となる。第二の目的は,様々な成長段階において教師がカンファレンス・システムをどのように利用するのかを明らかにすることを通して,システムの効果検証を行うことである。特に,多様な参加者がいるというカンファレンス環境の特性を考慮し,教師の経験や授業観の違いによってシステムがどのように機能するかを検討する。 第二年目にあたる令和2年度は世界的なCOVID-19流行により休校や対面接触の制限が要請された。そのため,予定していた調査の中止・実施方法の変更が余儀なくされた。ウェアラブルビデオ班では,教師による授業の「見え方」の基礎データの収集が引き続き実施された。コミュニケーション・ネットワーク班では学生による模擬授業および経験年数の異なる教師による小学校での授業におけるファシリテーション行動の記録と分析が実施された。 さらに,オンライン状況下における学生同士の模擬授業とそこでのファシリテーション行動の記録および分析が実施された(オンライン模擬授業スタディ)。これは年度当初の研究計画になかった実験である。オンライン授業が大学だけでなく初等中等教育においても求められている中,教職を志望する学生にとってオンライン・ファシリテーションスキルは重要な技能となったと言えよう。第一年目に連携を取ることのできた(株)ひとまちによるファシリテーションスキルの講習を経た学生が模擬授業を行い,そこでの視線配布と発話行動がデータとして収集された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は前年度からの準備を経て本格的なデータ収集に充てられる予定であった。しかし,COVID-19感染予防の観点から教職課程に所属する学生による対面模擬授業や協力校での研究授業が中止された。そのため,ウェアラブルビデオ班とコミュニケーション・ネットワーク班はともに当初の予定よりも遅れて研究を進めている。ただし,その間も,既存のデータを分析したり,学会や雑誌論文で成果を発表したりするなどして,制約の範囲内で可能なことをできるだけ進めている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,ウェアラブルビデオ班,コミュニケーション・ネットワーク班ともに,前年度に実施された調査を継続・拡張して実施する。 さらに今年度は,COVID-19感染防止の観点から前年度に完遂できなかった下記の諸調査を実施する。 ・模擬授業スタディ:教員養成課程にある学生による,ファシリテーション行動を含んだ模擬授業を対象とした記録システムを構築し,その記録を用いたカンファレンスにおける記録利用行動を分析する。前年度においてはオンラインでの模擬授業を対象として調査を実施したが,今年度は対面での模擬授業を対象とする。 ・研究授業スタディ:小中学校で実施される研究授業における教師の視線配布行動とコミュニケーション行動とを同時に測定し,それらの記録を用いたカンファレンスにおける記録利用行動を分析する。なお,その際に,授業中の教師や児童生徒のコミュニケーション行動に関する基礎的な分析を踏まえた行動記録システムの整備も進める。この点について,令和3年度から研究分担者を1名増やし,効率的に研究を推進する。これにより,特に学年の異なる児童に対する教師のコミュニケーション行動の多様性を明らかにする足がかりを得る。
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