本研究は、重度重複児(者)等の視覚認知発達を促すため、アイトラッカー(視線計測装置)を用いた視覚認知発達支援のための情報システムを構築し、実際に教育現場での適用を行うことを目的とする。今年度の主な研究成果は以下の通りである。 1)システム構築に関する教育工学的検討:本年度はタブレットPCへの対応について中心的に取り上げ、協力機関の関係者に協力をいただきながら活用を行い、システムに関する評価を実施することができた。また、当初の研究計画では予定していなかった別の協力者からも協力が得られ、こちらでもタブレットPCを主体としたシステム構築に関する研究が実施できた。記録分析機能については、今まで活用してきた市販システムの最新版に新しい記録分析機能が追加されたため、その機能の確認や今までの活用成果を踏まえ、教育現場での適用のために必要な機能について整理することができた。 2)システムの活用に関する教育心理学的検討:海外のCVI評価に関する最新の研究動向を整理し、本研究で主な対象としている重度重複児(者)におけるCVIについて評価するのための評価尺度について取り上げ、実際に評価を試行することができた。 3)システムの適用と教育プログラムの検討:上記1で検討を行ったシステムを教育に活用し、その成果について協力機関の関係者に協力をいただき評価を行った。また、今までに蓄積してきた研究内容をもとに、評価とシステム活用との関連から教育プログラムの整理を行うことができた。
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