研究実績の概要 |
主観カメラ動画を用いて教師の授業認知を把握し,熟達教師は「今,この場面で自分が授業を引き継ぐとすれば,こうする」という前提で授業をみていること,その根拠を授業観に基づいて説明できることを明らかにしたが、これを発展させ、主体的・対話的で深い学びに対する教職課程履修学生の意識について,学年間の比較を通して検討した。 具体的には,AHP(階層分析法)「良いと思う授業像」尺度(後藤2020)を活用し,教職課程履修学生の1年次と4年次の基準,代替案の平均値比較, 相関を分析し,4年次では「生徒一人一人が自分の考えを述べ,お互いに聞き合う授業」「生徒同士の話し合いや討論」が高く,1年次では「単に暗記ではなく,教材の意味を理解させる授業」「教師による説明の授業」が高かった。基準の比較では4年次では「生徒一人一人が自分の考えを述べ,お互いに聞き合う授業」が高く,1年次では「単に暗記ではなく,教材の意味を理解させる授業」が高い。代替案の比較では4年次では「生徒同士の話し合いや討論」が高く,1年次では「教師による説明の授業」が高い。これは,平成29年公示の学習指導要領における主体的・対話的で深い学び対応し, 教職課程が教科教育法や教育方法に対応した結果かも知れない。相関分析では基準の相関,代替案の相関,基準と代替案の相関とも4年次・1年次の構造に差がない事が分かった。 教師の力量形成に有効とされる授業はメタ認知的活動のリハーサルと授業の事実に即して行われる授業者のメタ認知的活動の評価と見なすことができる。VR授業ポートフォリオによるメタ認知的活動の支援によって乗り越えることを目指すが、「今,この場面で自分が授業を引き継ぐとすれば,こうする」という前提となる知識を教職課程をかけて培っていることがわかる。
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