研究課題/領域番号 |
19H01717
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
松田 岳士 東京都立大学, 大学教育センター, 教授 (90406835)
|
研究分担者 |
近藤 伸彦 東京都立大学, 大学教育センター, 准教授 (10534612)
重田 勝介 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (40451900)
渡辺 雄貴 東京理科大学, 教育支援機構, 准教授 (50570090)
加藤 浩 放送大学, 教養学部, 教授 (80332146)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 自己主導学習 / 自己調整学習 / 教学IRデータ / 学習履歴 / メタ認知的コントロール |
研究実績の概要 |
本研究は、学生を「自己調整学習者」および「自己主導学習者」とするために、教学IRデータを学生にどのようにフィードバックすべきであるのかを探究することを目的としている。2020年度は新型コロナウイルスの流行によって、多くの大学で新年度の授業の開始が遅れ、しかも多くの授業がオンラインで実施されたたため、学生の学びは大きな影響を受けた。この状況を受けて、2020年度は研究実施計画にあげた研究活動に加えて、前期と後期に1回ずつ学生の学習状況調査を行い、その結果を学会・研究会で発表するとともに、論文として投稿した。知見として、在宅学習の状況は、学年によって大きな違いがあることや、自己主導学習のレディネス尺度(SDLRS)のうち、因子2(基礎学習技法の活用能力)が授業に無関係な学習時間に影響を与えた可能性があったこと、学習計画習慣の有無が、累計学習時間、1回あたりの学習時間、授業に無関係な学習時間に影響を与えていたことなどが示された。 支援システム開発の観点からは、因子2、すなわち学習法に関する支援によって授業外学習を促進できる可能性と同時に、因子4や6が高い学生の活かし方の提案もできると示唆された。また、学年間の差に着目した支援も考慮すべきである。特に1年生は後期になってもSDLRSが低い項目が多いので、高めるための支援が有効であると考えられる。 これらに加えて、研究成果普及のための活動も積極的に行った。具体的には、英国の学術情報誌Impactに本研究の概要やこれまでの研究結果を発表したほか、本研究のウェブサイトを構築して、論文や学会発表時のスライド資料などに直接アクセスできるようにした。また同サイト経由で本研究グループがこれまでに開発したシステムの試用も可能にした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスによる感染症の流行に伴って、多くの学生がオンライン授業を受講した年度であった。また、国内外の学会の大会・研究会等のスケジュールも変更になったり、オンライン開催に変更されたりしたことや、出張を伴う活動がほとんどできなかったことから、研究計画を一部修正した。しかし、新型コロナウィルス流行以前からオンライン会議システムを活用していた研究メンバー間の連絡・情報共有や、個々の研究者の活動に大きな制約は加えられなかったので、研究プロジェクト全体としては、おおむね順調に進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
本科学研究申請時点から目標としていた諸機能に加えて、2020年度に行った、学生の学びの実態調査のデータ分析結果を受けて、ウイズコロナ時代の新しい学びに応じた表示内容や機能を開発する。SDLRSや成績評価方法に基づいた大学の正規授業の履修支援機能については、すでに実装されているので、今年度は大学の授業に直接関係ない授業外学習の支援を目的とした機能を開発し、評価する。 具体的には、学生の可処分時間の自己モニタリングを経て、学習者の課題に応じた支援を提供するシステム開発を予定している。同システムでは、第一にSDLRSの第2因子(基礎学習技法の活用能力)が低い学生、第二に第4因子(探求心)・第6因子(エネルギッシュな自己イメージ)が高い学生、第三にSDLのレディネス全体が低い学生を対象に、学生のモチベーションに適合した授業外学習促進方法を提示するシステムとする。
|
備考 |
本研究の取組、実績等を報告するウェブサイトを構築した。論文・学会報告の内容以外に、システム自体も試用できるようになっており、本研究の全体像を把握してもらえるよう配慮してある。
|