研究課題/領域番号 |
19H01718
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
大森 隆司 玉川大学, 脳科学研究所, 研究員 (50143384)
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研究分担者 |
金井 玲奈 桜美林大学, 健康福祉学群, 助教 (00818065)
岡 夏樹 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (20362585)
長井 隆行 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40303010)
中村 友昭 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50723623)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非認知能力 / センサシステム / 関心推定 / 子どもの状態推定 |
研究実績の概要 |
(1) 幼稚園の英語教室およぴ小学校1-2年生の英語教室での継続的な観察を,新センサシステムにより行った.春学期と秋学期に,事前に教員と連絡して内容を調整して,画像を取得した.これより,個々の子どもの情報を抽出することを試みたところ,小学生についてはある程度の精度で情報の抽出が可能であったが,幼稚園児については活動の幅が広すぎて,現在の画像処理では特徴量を安定して抽出することが困難であった.特に,個人の追跡は困難であり,当面は小学生の情報処理に注力することとした. (2) 小学生の授業における個々人の特徴量として,位置,顔向き,視線,身体の動き,姿勢からの挙手の情報を抽出した.その特徴量を可視化・評価することを試みた.位置と顔向きからは,各瞬間の子ども達の注目している場所が推定できたが,注目している瞬間と自由に周囲を見ている瞬間の識別が必要であった.またその注目領域の位置と広がりから,教室で行われている活動の属性が推定できる可能性が示された.身体の動きは画像中の顔の位置の動きから推定できた.簡単なロジスティック分析から,条件の良い子どもでは授業への参加状態を79%で推定できた.これを他の子どもにも適用していく必要がある.また,挙手からは挙手場面を高い精度で推定できることが判明した.しかし,挙手といっても教室にいる子ども達の半分しか手を挙げておらず,挙げていない子どもの状態推定が課題と判明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
画像からの特徴抽出が半年程度の遅れで行われ,さらにその行動的な解釈などが進行しはじめた.抽出された情報の子どもの状態理解への適用可能性が評価されたのは評価できる. 一方で,コロナ禍が1年経ち,定期的な計測の再開を検討していたが,流行の波がきて非常事態宣言が出されるたびに計測が中断され,また画像分析も個人情報が含まれるためテレワークが困難であり,遅れが発生した.結果,2020年度の半年程度の遅延に新たに3カ月程度の遅れが発生したと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究で,センシングシステムにより子どもの行動がある程度推定できることが示されたため,次はクラスの担当教員との協調による子どもの理解の試みを行う. センシングシステムからの情報を教員に伝え,それに教員の所見や成績の履歴を合わせて,センシングによりどこまで子どもの状態を正しく推定できるか,評価する.また,教員にとって必要な情報がある場合にはそれを適切に抽出するアルゴリズムを開発し,教員にフィードバックする手法を開発する. そして,特に問題があると考えられる場合には,教員が子どもに直接に働きかけることで,授業に落ちこぼれる前に問題を解決する方式を検討する.
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