近年,実用的なITS(Intelligent Tutoring System)や,LMS(Learning Management System)が普及し,実際の教育現場でe-Learningシステムが活用されている.ITSやLMSによって,学生の試験結果や学習過程のログデータを保存することが容易になった.EDM(Educational Data Mining)では,これらの膨大な教育関連のデータから,いかにして意味のある情報を抜き出すかが研究の焦点となっており,ビッグデータ研究の発展に伴って近年急速に注目されている. 特に,本研究では,調査対象をプログラミング教育とし,ITS,LMSサーバに蓄積された膨大な試験結果と学習過程のログデータおよびソースコードから,時間変化するスキルの形成過程を可視化し,潜在的スキルダイナミクスを同定することを目的としている. これまでに我々は,初等プログラミングの授業で取得されたログデータとソースコードを解析し,授業に追従できていない学生の抽出を行う手法を提案した.また,学習者のモデル化である学生モデリング(Student Modeling)で一般的に用いられるKnowledge Tracingの拡張を行った.この提案手法では,Convex Factorization Machinesを適用することで凸最適化が可能となり,高速化と推定精度の向上が可能となった.当該年度では,DeepFM and FiBiNETを組み合わせた学生モデリングを提案した.さらにKnowledge Tracingの精度と説明可能性を向上させるために,bi-directional RNNsを用いるとともに忘却の概念を項目反応理論に統合したモデルを提案した.
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