研究課題/領域番号 |
19H01737
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
木根 主税 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (20557293)
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研究分担者 |
馬場 卓也 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (00335720)
二宮 裕之 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40335881)
佐藤 学 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (90587304)
島田 功 日本体育大学, 児童スポーツ教育学部, 教授 (30709671)
添田 佳伸 宮崎大学, 教育学部, 教授 (00197005)
渡邊 耕二 宮崎国際大学, 教育学部, 教授 (30736343)
中和 渚 関東学院大学, 建築・環境学部, 講師 (00610718)
石井 洋 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50734034)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 価値観 / 数学教師の影響 / 国際比較調査「第三の波」 / 質問紙WIFI too |
研究実績の概要 |
本研究は,日本の数学教育における生徒の価値観の形成に及ぼす教師の影響を明らかにすることを目的としている。そのため,2019年度は,国際比較調査「第三の波」において開発された質問紙WIFItooを用いて,数学教師と彼らが担当する生徒を対象とした質問紙調査を実施し,生徒と教師の価値観の関係の特徴を明らかにすることを目指した。 当初,北海道,秋田,埼玉,東京,大阪,広島,宮崎の7都道府県を対象地域とした質問紙調査を計画したが,2019年度は,研究協力校との調整ができた秋田,東京,宮崎の3都県で調査を実施した。また,研究分担者の働きかけにより,千葉の学校でも実施した。(秋田:4校,教師4名,生徒227名;東京:1校,教師3名,生徒182名;宮崎:3校,教師3名,生徒270名;千葉:1校,教師2名,生徒138名)収集したデータは各都県別に分析した。 宮崎の分析結果として,3事例それぞれの教師と生徒の価値観の関係の特徴や,数学授業における価値観の形成過程の特徴を明らかにした。また,3事例に共通する特徴として,数学教育的価値観の下位次元のうち,「他者の解説」は教師から生徒へ引き継がれるが,「才能」,「厳しさ」,「数学世界における事実」,「現実世界での使用」,「創造」は教師にも生徒にも受け入れられなかったことや,価値観の形成過程パターンとして,生徒の価値観が形成される3パターン(「教師重視-生徒は教師重視と認識-生徒重視」,「教師重視せず-生徒は教師重視と認識-生徒重視」,「教師重視-生徒は教師重視と認識せず-生徒重視」)と,形成されない3パターン(「教師重視せず-生徒は教師重視と認識せず-生徒重視せず」,「教師重視せず-生徒は教師重視と認識-生徒重視せず」,「教師重視-生徒は教師重視と認識せず-生徒重視せず」)を導出した。この結果については,全国数学教育学会にて研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初,北海道,秋田,埼玉,東京,大阪,広島,宮崎の7都道府県を対象地域とした質問紙調査を計画したが,2019年度は秋田,東京,宮崎の3都県でしか実施できなかった。また,調査を実施できた3都県でも,データ分析の進捗に遅れが生じた。 対象地域における調査協力校との打ち合わせに時間がかかり,また,年度末近くで調査を実施しようとしたところ,新型コロナウイルス感染症のため協力校の休校措置があり,実施できなかった地域もあった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,質問紙調査で導出した生徒と教師の価値観の関係や生徒の価値観の特徴をもとに,個別の数学授業に対する授業ビデオ分析やインタビュー調査を実施し,生徒の価値観の形成過程や,それに及ぼす教師の影響を明らかにすることを目指す。 そのためにも,まずは2019年度に計画していた質問紙調査を対象地域で実施することを優先する。また,質問紙調査と並行して,数学授業の授業分析やインタビュー調査を実施する。質問紙調査と授業分析やインタビュー調査を並行して行うことで,それぞれの調査結果の関連付けも行っていきたい。 問題点としては,2020年度においても,新型コロナウイルス感染症の学校業務に対する影響が想定される。本研究の目的である生徒の価値観の形成過程や数学教師の影響を明らかにするうえで,授業分析やインタビュー調査の実施ができない,あるいは,適さないと判断された場合は,2021年度での実施も検討したい。
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