研究課題/領域番号 |
19H01741
|
研究機関 | 大阪経済法科大学 |
研究代表者 |
東條 加寿子 大阪経済法科大学, 国際学部, 教授 (20258346)
|
研究分担者 |
国吉 ニルソン 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30254577)
野口 ジュディー津多江 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 名誉教授 (30351787)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 日米理工系講義コーパス / Legitimation Code Theory / 知識構築 / 教授文化 |
研究実績の概要 |
グローバル化する理工系高等教育における英語を介した講義の現状を分析し、その教授文化との関連性を明らかにするために、1)講義の比較分析を可能にする日本語講義コーパスの増設、2)分析の理論的枠組みとしてのLegitimation Code Theoryの検討とLCTに基づく分析、および3)LCTに基づいた講義構造分析自動化プログラム(Semantic Density Evaluation Program)の初期開発を行った。 まず、既存の日米理工系講義コーパスOnCAL(http://www.oncal.sci.waseda.ac.jp )に新たに3科目49講義(延べ50時間)の講義スクリプトを追加した。これによって、英語講義430、日本語講義165となり、比較分析の精度を高めることが可能となる。 次に、日米の理工系講義の言語的特性とその背景にある教授文化の介在を明確にするための理論的枠組みとしてLegitimation Code Theory(LCT)を採用し、講義を教授者及び受講者が知識を構築していく過程と捉えた分析を行った。LCTではSemanthic Gravity(用語の文脈依存性)とSemanthic Density(用語の抽象度)を縦軸と横軸に置いた4象限において知識構築がどのように推移していくかをSemantic Wavesとして示す。OnCALに基づいて日米講義を解析した結果、英語講義では用語の抽象度を保持しながら文脈性を高める説明がなされ、一方日本語講義では、用語の抽象性を一般的用語レベルに下げながら知識理解を促す特徴があることが分かった。 これらの解析結果に基づいて、LCTのSemantic Density(用語の抽象性)に着目し、講義用語を一般用語、アカデミック用語、専門用語に分類し、講義構造分析を自動化したSemantic Density Evaluation Programの初期開発を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
講義コーパス(OnCAL)の改良、及び新規プログラム開発について研究協力者の手配が困難で、研究の進捗が遅れている。また、海外学会発表機会の制限により、研究成果のフィードバックが得にくく研究の精査が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
講義コーパス(OnCAL)について、日本語講義コーパスの増強を図るとともに、インターフェイスを改良し更新公開を目指す。また、初期開発を行ったSemantic Density Evalutation Programの妥当性と信頼性を検証し、改良を加える。 上記のプログラム改良によって講義構造分析自動化を実現し、理工系分野における英語の講義と日本語の講義の特性を抽出し、言語的特徴にとどまらず、教育文化の影響がどのように介在しているのかを解明する。
|