研究課題
本研究では、言語・非言語のコミュニケーション行動を伴う社会的な心身マルチタスクを、高齢者の多様性を高精度に評価可能な手法として独自に作成し、高齢者のコミュニケーション理解と支援手法の構築を実現することを目指し、1年目は、社会的な身心マルチタスクの作成に取り組んだ。初対面の同性同士でペアとなり、相互にしりとり をする言語タスクを行いながら、ロボットで移動する身体タスクを実施するというマルチタスクを考案し、高齢者13ペア(平均年齢68.50 SD=2.39、男性7ペア)、若者13ペア(平均年齢 25.23 SD=2.89、男性7ペア)を対象に実験を行った。対象者は、3歳以上年の離れていない初対面ペア、精神・身体疾患なし、高血圧などの医師から処方されている薬をの常用なし、145センチ以上、100キロ以下とした。ロボットは本田技術研究所の協力により、UNI-CUBβを2台用いた。参加者は、認知、身体機能の検査を受けた後、ロボットによる移動の練習を行った後、考案されたタスクを実施した。ペア間で順序を相殺した上で、個人で決められたルートを移動しながらしりとり を20ターン繰り返すタスクと、2人で協力しながらしりとりとルートの移動を交互に行うタスク(一人当たり10ターン)を実施し、双方ともに出来るだけ早く終了するように教示した。その結果、個人タスクも、協力タスクも、高齢者の方が若者よりも時間が有意に長くかかることが明らかとなった。また、若者の場合は、個人タスクでの1ターンあたりの終了時間が早ければ、協力タスクでの1ターンあたりの終了時間も早いが、高齢者の場合にはそのような関連が見られないことが示された。今後さらに詳細に検討し、高齢者の多様性を評価する指標の特定を目指す。
2: おおむね順調に進展している
考案したタスクを検証する実験を終了し、考案したタスクにより若者と高齢者の特徴を明らかにすることができた。
今後は、高齢者ペアのみに焦点をあて、ペアの組み合わせによる効果や、長期的な効果について検討を重ねる。特に、個人タスクでの終了時間が、互いに似通っているペアと、解離が大きいペアの場合には、協力タスクの終了時間が異なる可能性が高い。また、よりモチベーションを高く維持するために、成果のフィードバックの効果についても検討する予定である。
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Journal of Happiness Studies
巻: 21 ページ: 899-919
https://doi.org/10.1007/s10902-019-00099-6