研究課題/領域番号 |
19H01746
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上出 寛子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (90585960)
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研究分担者 |
新井 健生 電気通信大学, その他部局等, 客員教授 (90301275)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知身体マルチタスク / しりとり / 移動ロボット |
研究実績の概要 |
昨年度までの成果として、しりとりという認知タスクと、移動ロボット・ユニカブを用いた移動という身体タスクを同時に行うマルチタスクを用いた実験を行い、高齢者は若者よりも、認知・身体マルチタスクのパフォーマンスが低く、特に、一人で実施するよりも、他者と協力して実施する方がパフォーマンスが低いことが明らかとなった。そのため、今年度以降では、高齢者のみを対象として、他者と協力して行う認知・身体マルチタスクに注目し、これを実施することが高齢者の認知・身体機能に与える影響を検討することを目的とする。 一方で従来は、認知・身体マルチタスクのうち、身体タスクでは歩行による移動を用いることが主流であった。そこで、身体タスクとして、本研究で用いる移動ロボットであるユニカブを用いた移動と、歩行による移動の基本的な違いを明らかにすることを目的とした実験を行った。本実験には、全て女性の高齢者がペア(ユニカブ条件20名・10ペア、歩行条件16名・8ペア)で参加し、しりとりを用いた認知タスクを行いながら、ユニカブまたは歩行で移動した。しりとりには、出来るだけ難しいしりとりを回答した場合に得点が高くなるように一定のルールを設け、認知タスクのパフォーマンスの評価指標とした。また、全体のパフォーマンスとして達成時間を計測した。 その結果、ユニカブ条件よりも歩行条件の方が達成時間が短い一方で、認知タスクの得点には両条件間で違いがないことが明らかとなった。また、実験に対する自己効力感や楽しさ、集中の程度に関する主観的な評価も両条件間で違いはなかった。これらの基本的な知見に基づき、来年度以降、両条件のマルチタスクを継続的に実施することで、高齢者の認知・身体機能にどのような効果や影響があるかどうかを明らかにすることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた通り、高齢者を対象とし、他者と協力して実施する認知・身体マルチタスクのパフォーマンスについて評価することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果として、歩行条件の方がユニカブ条件よりも、認知身体マルチタスクの達成時間は短いが、しりとりの認知的タスクのパフォーマンスには違いがないことが明らかとなった。したがって、認知的なタスクの負荷は両条件で変わらない可能性がある一方で、慣れないユニカブを用いた移動の方が素早く移動できず、時間が長くなっている可能性がある。今後、高齢者がこれらの条件でのマルチタスクを持続的に実施することで、達成時間やしりとりのパフォーマンスが向上し、また、認知・身体機能に効果的な影響があるかどうかを明らかにする実験を行う。
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