研究課題/領域番号 |
19H01754
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
渡部 雅之 滋賀大学, 教育学部, 教授 (40201230)
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研究分担者 |
小沢 日美子 同朋大学, 社会福祉学部, 教授(移行) (10532038)
松田 繁樹 滋賀大学, 教育学部, 教授 (60405058)
遠藤 美行 滋賀大学, 教育学部, 研究員 (60835502)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 空間的視点取得 / 実行機能 / 眼球運動 / 重心動揺 / 加齢 |
研究実績の概要 |
眼球運動を指標とする空間的視点取得能力の測定課題を開発し、これを用いて身体機能と実行機能の複合的関与による生涯発達過程を解明することが本研究の目的である。特に2021年度は、眼球運動反応を利用して新たに開発した空間的視点取得課題を幼児に対して実施してデータに加えて分析に必要な数(30名分以上)を確保するとともに、課題手続きに改良を加えて、乳児ならびに高齢障害者にも適用可能な空間的視点取得能力の測定課題を開発することが目的であった。 研究分担者が眼球運動反応測定装置(竹井機器「トークアイライト」)を使用し、空間的視点取得課題を思考中の注視点の幼児の移動軌跡を計測した。新型コロナウィルス感染症の影響により、頻繁に実験が中断したが、最終的に30名分のデータを収集することができた。ディスプレイへの刺激提示直後から注視点が移動を開始するまでの潜時を計算し、これを身体から視点を切り離すために要した時間(視点切り離し時間)と見なした。視点切り離し時間は大学生や高齢者(約300ミリ秒)に比べて大きな値であった。 研究代表者は、同志社大学赤ちゃん学研究センターと共同研究を行い、同センター所有の眼球運動反応測定装置(Tobii Pro スペクトラム)を使用して、注視するだけで空間的視点取得能力を測定できる課題を開発した。新型コロナウィルス感染症の影響による数度の実験中断はあったが、この課題を最終的に乳児約40名に実施した。有効データは20名分程度であった。さらに、研究協力者と共同して、同課題を脳卒中後遺症や認知症を患う高齢患者約80名に実施した。有効データは55名分程度であった。乳児についてはデータ数の加算を予定し、高齢障害者についてはデータの分析中である。 これらの結果の一部は日本発達心理学会等にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
同志社大学赤ちゃん学研究センターの一般共同研究に採択され、同センター所有の機器をはじめとする研究環境を利用できたことから、当初の計画にはなかった乳児からのデータ収集が可能となった。さらに、乳児用に新たに開発した課題を用いて、高齢障害者のデータを予定よりも多く収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の影響により、2020年度には研究が停滞しがちであったが、2020年度の予算から65万円を2021年度に繰越して実験規模を拡大したこと、同志社大学赤ちゃん学研究センターの一般共同研究に採択され、同センター所有の機器をはじめとする研究環境を利用できたことにより、研究はほぼ開始時の予定どおりに進展している。 2022年度は乳児のデータを約30名分追加するとともに、これまで収集したデータを統合的に分析し、その成果を学術雑誌へ投稿する。
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