研究課題/領域番号 |
19H01754
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
渡部 雅之 滋賀大学, 役員, 理事 (40201230)
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研究分担者 |
小沢 日美子 同朋大学, 社会福祉学部, 教授(移行) (10532038)
松田 繁樹 滋賀大学, 教育学系, 教授 (60405058)
遠藤 美行 滋賀大学, 教育学部, 研究員 (60835502)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 視点取得 / 身体性 / 実行機能 / 生涯発達 / 空間認知 |
研究実績の概要 |
生後9か月から14ヶ月までの73名の乳児を対象に空間的視点取得課題を実施し、この時の注視点の動きをアイカメラで計測した。61名分を有効データとして分析した。月齢で9か月/10-11か月/12-14か月の3群に分け、回転角度ごとに正誤の人数に有意な差があるかを検定した結果、1歳を過ぎると空間的視点取得ができるようになることがわかった。また9か月児も、自分の身体に近い左右90度の位置までなら、視点の移動ができるようであった。10-11か月児は、左右90度位置で失敗し、180度位置では正答できていた。この頃に身体的な自己イメージが形作られることと何か関連があるのかもしれないと考察した。この成果を英語論文としてまとめ、国際誌に投稿した。 幼児を対象に収集した前年度までのデータを分析し、空間駅視点取得には自己の身体イメージを身体から分離する過程と、分離した身体イメージの移動との2つの過程が含まれるとする仮説を支持する結果を得た。この成果を英語論文にまとめて国際誌に投稿した。 さらに、脳血管障害もしくは認知症を有する高齢者を対象に収集した空間的視点取得ならびに注意機能のデータを分析し、結果を日本老年行動科学会第24回大会において口頭発表を行った。 これらの研究成果から導かれた視点取得能力の生涯発達に関する独自の仮説-自己身体イメージの緩みと分離-を2本の英語レビュー論文としてまとめ、いずれも国際誌に投稿し、掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウィルス感染症蔓延の影響のため、収集したデータ数は当初の予定よりかなり少なくなったが、代わって乳児期にまで研究対象を拡大して有意義な知見を見出すことができた。これにより、本研究課題で目的とした空間的視点取得の生涯発達メカニズムに関する仮説を導くことができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度であることから、得られた成果(特に空間的視点取得の生涯発達仮説)を学術雑誌・学会で積極的に公表する。あわせて、今後の研究課題につながる知見を得るために、乳児を対象とした探索的実験を行う。
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