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2019 年度 実績報告書

コーホート研究による青年期における社会性の形成要因の解明と発達モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 19H01759
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

河合 優年  武庫川女子大学, 教育研究所, 教授 (00144098)

研究分担者 玉井 航太  北海商科大学, 商学部, 准教授 (20710635)
小花和Wright 尚子  武庫川女子大学, 文学部, 教授 (80249424)
田中 滋己  独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター(臨床研究部), その他部局等, 研究員(移行) (90252345)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードコホート研究 / 乳幼児期 / 児童期 / 青年期 / 社会性の発達
研究実績の概要

2019年度は研究計画通り、①中学3年生に進級した先頭グループを対象に、進路決定に関わる要因の調査を実施分析した。調査票には、これまでのパネル項目に加えて、進路決定や、アイデンティティ確立に関する項目を含めた。進路決定に関しては、保護者の質問票にも対応する項目を含めた。また、高等学校受験に向けて、生活リズムが乱れている生徒がいると予想されることから、特に睡眠リズムに関してデータを得た。②小学校6年生には、これまでの小学校児童対象のパネル項目(運動機能、書き取り、聞き取り、比喩・皮肉の理解、地図作成、友達や学校生活に関する聞き取り等)に加えて、2次の誤信念課題や中学校に関する知識の聞き取りなどを実施した。また、保護者には、中学校進学に対する不安などについて聞き取りを実施した。③中学1年生に進学するグループには、春に適応調査を実施した。④3学期(中学3年生は2学期)に定例のパネル調査を実施するという計画が立てられた。以上の調査に加えて、⑤強い環境刺激によって引き起こされると考えられる、DNAメチル化の解析が進んでいる。この現象が観察された協力者の、ストレッサーになりうるできごとを含む、これまでに収集されてきた項目の分析が計画された。
以上の計画のうち、調査研究、観察については概ね計画通り実施できた。しかし、2019年度後半、分析担当者の予期せぬ病休により、分析作業が大幅に遅れることになった。新型コロナウィルス感染症拡大による弊害もあったが、分析作業を2020年度に繰越して実施しため、2019年度に予定されていた作業は完了することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本コホート研究の最大の特色は、同じ観察室で条件統制された行動観察と非統制条件における行動観察を継続してきた点にある。観察は、おおむね夏休みにおいて実施することとなっている。これに加えて、多くのコホート研究がそうであるように、毎年実施される質問紙調査による経年変化追っている。
2019年度では、先頭グループが中学3年生であった。そこで、研究計画で述べた課題を取り上げられるような質問票項目を検討し、実施した。2020年度には、親子関係の観察調査を実施予定であった。観察室の整備等も含め、準備を開始していたが、コロナ禍により、観察調査の実施を断念せざるを得なかった。そのため、上述の休校措置に関する調査の実施、調査資料の整理に尽力した。私たちの研究が理論的な柱としている、エピジェネティックの視点からの研究が実施できたことは意味がある。これは、人間が持っている心理的な特性がコロナのような、世界規模での環境変化によって、大きく分岐するという考え方であり、一世紀の間に一度起きるかどうかの極めてまれな現象である。当初計画になかった調査であるが、この情報が得られたことは意味があると考える。
2020年度に入り、新型コロナウィルス感染症拡大の影響による勤務体制の変更があり、調査資料の整理等の作業が大幅に遅れたが、現在は対面観察以外についてはなんとか可能な方法を探りながら作業を進めている。

今後の研究の推進方策

本研究では、協力者が中学校を卒業・高等学校に進学という一つの節目を迎える時期に当たる。またこの時期には、家族、友人との関係性が大きく変化すると言われている。こういった関係性のダイナミクスや、進路選択問題を丁寧に調査、観察し、分析していくことが本研究の目的である。また、これまでの調査資料を整理し、公開につなげることも重要な目的である。
このたびの新型コロナウィルス感染症の拡大により、これまでの目的に加えて、新型コロナウィルス感染症の拡大が協力者にどのような影響を与えているのかという課題が加わった。特に、2020年3月から5月にかけて、休校措置という協力者にとって大きな影響を与える事象が発生した。
そのため、2020年度5月には臨時の調査を実施した。また、学校再開や制限の続く生活の影響についても調査を継続する予定である。得られたデータを基に、青年期の社会的行動が、コロナ禍において影響を受けるのかどうかを、予測される発達傾向と実測される発達指標の変化との関係から検討していく予定である。
研究全体は、新型コロナウィルス感染症によって社会状況が急激に悪化しない限り、計画通り実施する予定である。ただし、対面での観察実験の実施は、慎重に判断することになるだろう。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 武庫川女子大学教育研究所/子ども発達科学研究センター 2019年度活動報告2020

    • 著者名/発表者名
      河合優年・難波久美子・中平真美・中井昭夫・石川道子・玉井日出夫
    • 雑誌名

      武庫川女子大学教育研究所研究レポート

      巻: 50 ページ: 149-165

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Effects of infant stable self-regulation on their adjustment during primary school years.2019

    • 著者名/発表者名
      Namba, K., & Kawai, M.
    • 学会等名
      Annual Conference 2018 of the British Psychological Society
    • 国際学会

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公開日: 2021-12-27  

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