• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

精神・神経疾患の認知予備力評価法の開発:神経心理学的メカニズムの解明のために

研究課題

研究課題/領域番号 19H01761
研究機関金沢大学

研究代表者

松井 三枝  金沢大学, GS教育系, 教授 (70209485)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード認知予備力 / 仕事の複雑性 / 余暇活動 / 脳神経疾患 / ライフコース
研究実績の概要

本研究は、これまで加齢や認知症に主として焦点をあてられてきた認知予備力について、高齢者や認知症のみならず、医療従事者が臨床現場で出会うさまざまな精神疾患や神経疾患の発症から回復への機能的な理解や予後の予測の目的のために適用可能な道具を開発することにある。認知予備力はそれまでの教育、仕事、余暇活動経験や病前知能などが関連し、それがさらに、さまざまな精神・神経疾患の発症時からの機能に影響を及ぼすことが予測される。本研究の目的は、認知予備力を定量化するための尺度を開発することである。これまでの研究を参照して、教育、職業・仕事経験、余暇活動経験に関する項目を盛り込んだ日本版評価尺度を作成した。20歳から80歳第まで計600名(各年代100名ずつ)に仕事と余暇活動の調査を行った。これらの基礎データについての標準化を行い、認知予備力指標得点の算出を行える尺度を作成した。再テスト法による信頼性の検討のために、600名のうち無作為にに選定した100名に同様の質問項目を約5カ月後に実施した。その結果、両者の関連は高く、信頼性は比較的高いことを確認した。また、さらに、別途1200名の再調査による交差妥当性の検討もすすめてきた。また、神経疾患や精神疾患で検討での検討も引き続き進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍状況が続いたため、研究実施の制限がある。とくに神経疾患や精神疾患患者への検討を十分に進めることが困難であるため。

今後の研究の推進方策

今後の検討として、以下をすすめる。
1.勤労者における職業・仕事の複雑性および余暇活動の定量化の妥当性の検討
認知予備力調査の2回の結果をもとに職業・仕事の複雑性と余暇活動について定量化し、勤労者でこれらの半構造化面接調査を行ない、妥当性の検討を行なう。また、さまざまな認知機能との関連を検討する。
2.臨床的に有用な認知予備力を測定するための評価尺度の開発: 認知機能と脳画像所見との対応の検討
職業・仕事の複雑性および余暇活動の定量化を行ない、年代および性を考慮した基準値を算出する。また、勤労者における評価尺度の検討より、実際に有用可能であることを確認した上で、実際の臨床現場で、精神疾患や神経疾患にも利用可能な評価尺度として精錬する。器質性脳疾患(脳卒中、脳腫瘍患者)と精神疾患(統合失調症と気分障害)を対象とした臨床研究をおこなう。このための各臨床群で、認知予備力尺度と認知機能検査を実施する。さらに通常臨床で撮像されている脳画像検査(MRI)にもとづいて、各指標との関連を引き続き検討する。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Premorbid intellectual ability in schizophrenia influence family appraisal related to cognitive impairments: A cross-sectional study on cognitive impairment and family assessments.2022

    • 著者名/発表者名
      Ebina K, Matsui M, Higuchi Y, Suzuki M
    • 雑誌名

      BMC Psychiatry

      巻: 22 ページ: 227

    • DOI

      10.1186/s12888-022-03879-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 精神・神経疾患の認知予備力についての検討2022

    • 著者名/発表者名
      松井三枝
    • 雑誌名

      認知神経科学

      巻: 23 ページ: 103-108

    • DOI

      10.11253/ninchishinkeikagaku.23.103

  • [雑誌論文] 統合失調症における認知機能障害とその治療の神経基盤2021

    • 著者名/発表者名
      松井三枝
    • 雑誌名

      臨床精神医学

      巻: 50 ページ: 1291-1302

  • [学会発表] 脳損傷患者における認知機能研究、シンポジウム「神経心理学と認知心理学の接点」2021

    • 著者名/発表者名
      松井三枝
    • 学会等名
      日本認知心理学会第18回大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 統合失調症の前頭葉性パーソナリテイ特徴に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      蝦名昂大、松井三枝、中田翔太郎,樋口悠子,鈴木道雄
    • 学会等名
      第15回日本統合失調症学会
  • [学会発表] 精神・神経疾患の認知予備力についての検討、シンポジウム「予測、予知、予防の認知神経科学」2021

    • 著者名/発表者名
      松井三枝
    • 学会等名
      第26回認知神経科学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 脳腫瘍患者の認知機能に対する認知予備力の影響2021

    • 著者名/発表者名
      蝦名昂大、松井三枝、稲田祐奈、木下雅史、中田光俊、斎藤大輔
    • 学会等名
      第25回認知神経科学会
  • [学会発表] 脳腫瘍術後における認知機能に対する認知予備力の貢献2021

    • 著者名/発表者名
      木下雅史, 松井三枝, 蝦名昂大, 齋藤大輔, 中田光俊
    • 学会等名
      第44回日本脳神経CI学会総会
  • [学会発表] Effect of cognitive reserve on working memory in patients with frontal lobe tumors.2021

    • 著者名/発表者名
      Matsui M, Ebina K, Kinoshita M, Saito D, Nakada N
    • 学会等名
      2021 International Neuropsychological Society (INS) Melbourne Hybrid Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 双極性障害患者の心理機能の特徴について2021

    • 著者名/発表者名
      佐藤邦子、小野靖樹、蝦名昴大、樋口杏、松本一記、松井三枝、宮岸良彰、坪本真、内藤暢茂、菊知充
    • 学会等名
      第198回北陸精神神経学会
  • [学会発表] 指定討論、大会企画シンポジウム「認知リハビリテーションから見る高次脳機能障害支援の拡大と深化」2021

    • 著者名/発表者名
      松井三枝
    • 学会等名
      日本心理学会第85回大会
  • [学会発表] 統合失調型パーソナリテイ傾向と認知機能の関係2021

    • 著者名/発表者名
      樋口杏、蝦名昂大、松井三枝
    • 学会等名
      日本心理学会第85回大会
  • [学会発表] コロナ禍における余暇活動の実態とメンタルヘルスに関する縦断調査2021

    • 著者名/発表者名
      滝口雄太、松井三枝、蝦名昴大、菊谷まり子
    • 学会等名
      日本心理学会第85回大会
  • [学会発表] どのような余暇活動の側面が良好なメンタルヘルスに寄与するかーライフスタイルの変化による余暇の取り組みの違いを考慮してー2021

    • 著者名/発表者名
      滝口雄太、蝦名昴大、相上律子、松井三枝
    • 学会等名
      北陸心理学会第56回大会
  • [学会発表] 脳腫瘍患者のワーキングメモリに対する白質神経線維束の損傷および認知予備力の影響2021

    • 著者名/発表者名
      蝦名昂大、松井三枝、木下雅史、斎藤大輔、中田光俊
    • 学会等名
      北陸心理学会第56回大会
  • [学会発表] 認知機能からみたこころの健康へのアプローチ:予防とレジリエンスのためにー2021

    • 著者名/発表者名
      松井三枝
    • 学会等名
      第10回金沢大学認知科学シンポジウム
  • [学会発表] 認知機能改善療法の現状とこれから2021

    • 著者名/発表者名
      松井三枝
    • 学会等名
      第8回北海道精神科認知リハ研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 脳腫瘍患者における腫瘍摘出手術後の認知機能と認知予備力の関連2021

    • 著者名/発表者名
      蝦名昂大、松井三枝、木下雅史、斎藤大輔、中田光俊
    • 学会等名
      第12回ライフサイエンス研究交流セミナー
  • [図書] 認知症に心理学ができることー医療とケアを向上させるために2021

    • 著者名/発表者名
      岩原昭彦、松井三枝、平井啓(編)
    • 総ページ数
      168
    • 出版者
      誠信書房
    • ISBN
      9784414311259

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi