研究課題
本研究は、これまで加齢や認知症に主として焦点をあてられてきた認知予備力について、高齢者や認知症のみならず、医療従事者が臨床現場で出会うさまざまな精神疾患や神経疾患の発症から回復への機能的な理解や予後の予測の目的のために適用可能な道具を開発することにある。これまでの研究を参照して、教育、職業・仕事経験、余暇活動経験に関する項目を盛り込んだ日本版評価尺度を作成した。20歳から80歳代までの2つの母集団600名の調査データと1200名の調査データについて、それぞれ再検査法による信頼性の検討を行った。その結果、いずれの認知予備力に関連した値においても高い信頼性係数が得られた。尺度の妥当性に関して、以下のいくつかの検討を行った。認知予備力の中の仕事の複雑性の指標については、職業分類によって決まってくる仕事の複雑性得点(データ、ヒト、モノおよび総合得点)と被験者ごとの主観的仕事の複雑性得点との関連を調べた(収束的妥当性)。同時に行った社会経済尺度と認知予備力指標との関連を調べた(並存的妥当性)。2回の調査における指標間の相関を検討した(交差妥当性)。これらの妥当性の検討結果から、認知予備力尺度の妥当性が確認された。なお、健常者の余暇活動を行う際に必要となる認知的、身体的、社会的な要素について検討した結果、最終的に86種類の余暇活動に対して3つの要素を決定することができ、それらの得点とメンタルヘルスとの間には正の関係があることが示された。また、新しい職業分類法O*NETからの日本版仕事の複雑性スコアを開発し、健常者におけるそれらと認知機能との関係を検討した。さらに、統合失調症、気分障害および脳腫瘍患者における認知予備力の影響についての検討を進めた。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLOS ONE
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