研究課題/領域番号 |
19H01762
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平井 啓 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (70294014)
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研究分担者 |
足立 浩祥 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 准教授 (00303785)
谷向 仁 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60432481)
本岡 寛子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (70434876)
山村 麻予 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 講師 (70745190)
中村 菜々子 中央大学, 文学部, 教授 (80350437)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メンタルヘルス / 受療勧奨 / 心理教育 |
研究実績の概要 |
今年度はWEBを利用した調査を2件(メンタルヘルス受療行動に関する利得と損失認知に関する調査、受診勧奨に関するメッセージの効果についてのプレ調査)実施し、継続して調査を行ってきた介入研究についてのデータ収集を完了した。いずれも予定通りに進行している。 メンタルヘルス受療に関する利得と損失について、測定項目の選定が完了し、今後の調査計画に反映していく予定である。また、メッセージ効果に関しては、これまで「脳」と「心」の2種類の言葉が与える影響について着目をしてきたが、本調査によって「疲労」と「病気」という表現の違いによっても差が生じる可能性が示された。こちらも今後の研究に反映することになり、本年度に実施した調査については、有意義な結果が得られている。 介入研究についてのデータは順次分析を進めており、次年度以降に発表を行う予定である。 また、繰越を行い、20年度には、WEBを利用した調査を1件(メンタルヘルス不調に対する受診勧奨メッセージの効果検討)実施することができた。19年度調査の追跡調査であり、WEB調査後の影響を正確に測定するため、2020年秋に実施した。調査の結果、メッセージの種別によって受診行動に変化は見られなかったものの、半年間で新規受療した者の特徴が明らかとなった。たとえば、メンタルヘルスケアの重要性を理解していたり、他者への相談や下調べなどの準備行動が多かったりと明確な特徴が見られた。これらは、受療促進を適切に促すために、Transtheoretical-Modelに基づき、ステップごとに行動変容を促すといった介入の可能性を示唆したといえる。また、新型コロナウイルスの流行の影響を合わせて検討し、これまで明らかにされていなかった、「精神科治療の受診控え」についての基礎データの収集も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査項目の選定と議論に時間をかけ、予定した時期ではなかったものの、年度内に2件の調査を実施することができた。その結果についても質が高く、次年度以降の計画に反映し、進展が見込めるものである。
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今後の研究の推進方策 |
20年度については、「受療行動の促進に有効なメッセージと心理教育コンテンツの作成」を行う予定である。具体的には、実施済み調査の結果として得られるセグメントについて損失回避性、参照点、現在バイアスといった行動経済学的指標の特徴に関する解析を行う。これを受けて、それぞれのセグメントにおいて、受療行動の参照点の特定とそれに対応した利得フレーム・損失フレームの内容を具体化したメッセージとコンテンツのプロトタイプを開発する。なお、セグメントには、不調者の周囲の支援者も含む。開発したコンテンツについては、WEB調査会社を通じてそれぞれのセグメントに調査を依頼し、コンテンツの効果についての検討を行う。
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