研究課題/領域番号 |
19H01766
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大竹 恵子 関西学院大学, 文学部, 教授 (70405893)
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研究分担者 |
片山 順一 関西学院大学, 文学部, 教授 (80211845)
真田 原行 関西学院大学, 文学部, 研究員 (40734041) [辞退]
小林 正法 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (60723773)
津田 彰 帝京科学大学, 総合教育センター, 教授 (40150817)
福島 宏器 関西大学, 社会学部, 教授 (50611331)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ポジティブ感情 / 感情の機能 / 幸福感 / 心身の健康 |
研究実績の概要 |
本研究は、ポジティブ感情の機能に着目して、実験や調査による基礎研究から得られる基礎的知見を健康に対する予防行動や主観的幸福感が持続できるための仕組みの理解と心身の健康増進の実現に応用し、一次予防におけるアプローチ法の確立を目指している。 2021年度は、2020年度に引き続き、新型コロナウイルスに関する活動制限や研究を進める上で影響を受け、当初計画していた進行状況が一部遅れた面があったため、2022年度に一部研究費を繰越して対応した。2021年度は、これまでの研究に引き続き、ポジティブ感情の機能や影響について検討した。個人レベルおよび対人レベルの検討では、ポジティブ感情に関連する発生メカニズムの解明として個人および対人、さらには複数人での検討を行い、感謝感情を取り上げた向社会性に関する実験的研究や、援助想像と援助意図に関する実験的検討を行った。また、ポジティブ感情として、感謝だけではなく、ノスタルジア(懐かしさ感情)を喚起して対人だけではなく社会への信頼や意識といった社会的なつながりに影響がみられるかどうかという点についても検討を行った。これらの研究成果の一部は、学術雑誌論文として公表することができた。最後に、昨年度に引き続き、今後の研究実施においても、さまざまな形で新型コロナウイルス(COVID-19)による影響を受ける可能性が考えられるが、今後は、内受容感覚やさまざまな心理特性等の要因との関連も検討しながら、基礎的知見をもとに介入等を含む実践への応用展開も視野に入れた試みを展開していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、新型コロナウイルスに関する影響を受けたため、当初の予定よりも進行(感情に関する研究計画の検討および打ち合わせ等)が遅れたため、研究費の繰越申請を行い承認いただいたが、その後、2022年度に入り、当初の遅れを取り戻しながら各研究を進めてきたため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、これまでの研究に引き続き、ポジティブ感情喚起手法の開発と多面的な評価法の検討を受けて、ポジティブ感情が基礎的認知機能や対人認知機能に及ぼす影響について短期的な効果だけではなく、長期的な効果を検討する。ポジティブ感情の個人および対人レベルの検討を発展させ、人数を増やして集団レベルでの検討を進め、感情のさまざまな機能や影響に関する実験を行う。感情喚起やその感情状態に関する評価については、研究統括の大竹を中心に、片山と真田が生理指標を測定し、小林が個人の認知を中心にデータ収集を行い、各研究を統合することによって自己および対人、集団の影響について検討する。 また、ポジティブ感情だけではなく、さまざまなポジティブ感情状態やネガティブ感情との同時生起についても、ノスタルジアや感謝、畏敬、アレキシサイミアといった心身との関係において注目されている複合的な感情状態や特性を扱い、ポジティブ感情による回復効果や心身の状態変化を検討する。これらの研究については、研究統括の大竹と小林が実験的な検討を継続し、内受容感覚に関する研究や心身の健康に関する臨床的および予防的研究については研究統括の大竹と津田、福島が担当し、介入等を含む実践への応用展開を視野に入れて検討する。
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