研究課題
本研究の目的は、様々な予測に基づいた行動と、その柔軟な選択を制御する心理学的・神経科学的メカニズムを明らかにすることである。頭部固定下の動物において、液体報酬を用いた報酬性の条件づけ課題遂行中のマウスの線条体から経時的にドーパミン記録を行った。すると、条件づけを繰り返すことにより、報酬予測確率の違いに基づいた、報酬期待と関連したドーパミンの上昇が観察されるようになった。さらに、「エサ報酬の獲得」および「期待された報酬が得られなかった際」のドーパミン変化を解析したところ、学習依存的な報酬予測誤差様信号が観察された。また、嫌悪刺激を用いた恐怖条件づけ課題遂行中のマウスにおいて、前頭前皮質・線条体・扁桃体からドーパミンの多点同時記録を行ったところ、それぞれの脳領域において、嫌悪事象の予測確率に応じた独自のドーパミン動態が観察された。一連の研究により、報酬および嫌悪刺激に対する予測と、それに基づく柔軟な行動選択に関与するドーパミン神経回路が明らかにされた。一定の時間経過後に報酬が与えられる条件づけ課題の訓練を行ったところ、報酬が与えられるタイミングに近づくに伴って動物の報酬希求反応が増加した。その後、エサ報酬を与えないで反応頻度のピークを検討する「ピーク法」を用いて解析を行ったところ、本来報酬が与えられるタイミング付近で反応のピークが観察された。この課題を遂行中のマウスにおける瞳孔サイズの変化を解析することで、時間知覚に関与する生理心理学的なメカニズムを解析した。さらに、光遺伝学を用いた神経活動の操作実験を行うことにより、海馬の各領域やそれに対して入出力関係を持つ複数の脳領域の活動の変化が、時間知覚に基づく柔軟な報酬獲得行動に関与している可能性を見出した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 10件、 招待講演 2件)
Molecular Brain
巻: 14 ページ: -
10.1186/s13041-021-00844-0
PLOS ONE
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10.1371/journal.pone.0254570