研究課題
光と音の同時性知覚は、直近の経験に基づき柔軟に変化し、時間的に再較正されることが知られているが、「高ピッチの音ほど高い位置の視覚刺激と結びつきやすい」という感覚間協応が、時間的再較正に影響するか検討した結果、協応関係に整合する視聴覚入力間の時間ずれが選択的に補正されるような形で時間的再較正が生じることを明らかにした。序数擬人化共感覚の保有率や発達過程上での喪失に関する大規模Web調査を引き続き行い、調査票内でのOLP等の説明をより誤解の余地が少ないものに改善した上で前年度調査の結果の信頼性を検証し,色字共感覚など他種の共感覚との比較も行った。その結果, OLP以外の共感覚でも中途喪失を自覚する人が一定の割合で存在することや,その割合が共感覚の種類によって異なる可能性があることが示された。数字学習期にあたる5~6歳の幼児を対象に,序数擬人化傾向について,令和2年度から通算3度目の縦断調査を行い、3時点すべてで有効データが得られた幼児56名分の結果の分析から,まだ読めない数字がある幼児も多かった1時点目よりも,より数字に習熟した2-3時点目では,数字に多様なキャラクターを割り当てる傾向が強かったことが示された。数字の擬人化傾向と数字概念の理解が関連している可能性を示唆する結果である。300人規模の共感覚オンラインテストのデータの解析を進めた結果、ドレミなどの音階音の色を選ぶ課題を数分行うだけで、もともと共感覚を保持する自覚のなかった者の一部が、これらの誘因刺激に色を感じると自覚するように“転換”する、新しい現象を発見した。こうした転換例の被験者では、共感覚色の時間安定性がコントロール群より有意に高く、さらに、ストループ課題における反応時間につき、「ド」のように文字で視覚提示した音階音の物理色と共感覚色の間に有意な干渉効果が認められたことから、共感覚の自動性も確認された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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