研究課題
本年度は、ハシブトガラスにおいて、モーション・キャプチャによる三次元の視線測定法を確立した。具体的には、複数台の赤外線カメラを備え、カラスの頭部に付着した小型のモーション・キャプチャ・マーカーを高い時空間解像度でトラッキングするシステムをカラス小屋に作成した。そのデータに基づき、カラスの頭部の方向を再構成するシステムを確立した。さらに、カラスの視野の使い方について調べるため、カラスに小さなオブジェクトを提示したとき、カラスがどのように頭部を向けるのか実験的に調べた。結果、カラスは光軸(Optic axis;中心窩が投影する先)を主にオブジェクトに向けることが明らかになった。その分散の程度から、眼球運動の程度も推測できた。この実験で明らかとなったカラスの視野の使い方に基づき、カラスがどのオブジェクトを見たかということについて推測が可能となった。モーション・キャプチャはマーカーを頭部に接着しなければならず、カラスを複数個体テストした場合お互いにそのマーカーを取り外してしまう問題があったが、今年度は、近年急速に発展しているコンピュータ・ビジョンの手法を用いて、複数台のRGBカメラの撮影から、マーカーを必要としなくても、ある程度の精度で頭部のトラッキングが可能であることを示した。この手法を携え、ウィーン大学において共同研究をおこない、ワタリガラスにおいてもマーカーをつけることなく頭部トラッキングが可能であることを示した。今後、これらの手法をもちいて、特に注視反応を用いた心理実験に活用されることが期待される。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件)
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