研究課題/領域番号 |
19H01785
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
逆井 卓也 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (60451902)
|
研究分担者 |
森田 茂之 東京大学, 大学院数理科学研究科, 名誉教授 (70011674)
鈴木 正明 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (70431616)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | グラフ複体 / モジュライ空間 / 特性類 / シンプレクティック微分 / トートロジー環 |
研究実績の概要 |
森田,鈴木,逆井の共同で,第7,8 Johnson 準同型の構造を調べ, 第7Johnson 準同型の像を決定し, 第8については1つの成分を除いてすべて決定した.これらの計算結果にも昨年度までの研究で得られていた新たな種の余核成分がより大きな形で明確に現れており,この部分の幾何的意味を明確化することや,対応するウェイトに関する Lie 代数のアーベル化を決定することの重要性が更に増すものとなった. グラフ複体のオイラー数の漸近的挙動の研究に関して,昨年度に Faber 氏より受けた指摘を元に,計算方法を改めて,新しいプログラムを作成し,これまでの計算よりも効率の良い方法により,結果を伸ばすことに成功した.この実験結果を元に,予想している漸近的振る舞いを決定することが最終的な目標となる. 鈴木と逆井は,10月に行われたタイヒミュラー空間の国際研究集会にオンラインで参加し,鈴木が本研究内容に関する講演を行った. 一方,新型コロナ禍により,予定していた国際研究集会の実施や参加ができなかったり,情報の収集と交換のための国内の研究集会を急遽オンラインで開催するなど,計画通りに研究を遂行できない面も幾つか見られた. 当初の計画と比較すると,Manivel の安定性を用いたトートロジー環の研究については,研究の遅れが目立つものとなっている.計量グラフのモジュライ空間の有理コホモロジーと可換型のグラフホモロジーの関係性については,Feynman 変換の理論や Verdier 双対性の利用などに至り,より広い範囲での研究が必要なことが分かってきた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍の状況変化により,当初予定していた国際集会の準備が流動的になり,研究討議のための出張も一切できなかった.オンラインで実行できた部分も多かったが,やはり直接的な議論に及ばず,全体を通じて計画に基づいた行動が難しい1年となった.そのため,次年度以降を見据えた形で準備となる計算や理論部分の準備に集中した年度となった.
|
今後の研究の推進方策 |
第8Johnson 準同型の像の決定については,計算時間を十分にかけることで詰めることができる状態にあるので,次年度の早いうちに終了させる予定である.理論的面については,遅れが見られるトートロジー環の研究に注力する. 新型コロナ禍の状況変化に応じて,適切な方法で研究集会を開き,情報の収集と共有に努める.
|