研究課題/領域番号 |
19H01788
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鎌田 聖一 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60254380)
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研究分担者 |
河内 明夫 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (00112524)
金信 泰造 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00152819)
遠藤 久顕 東京工業大学, 理学院, 教授 (20323777)
早野 健太 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (20722606)
大槻 知忠 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (50223871)
安井 弘一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (70547009)
佐藤 進 神戸大学, 理学研究科, 教授 (90345009)
大城 佳奈子 上智大学, 理工学部, 准教授 (90609091)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | トポロジー / 曲面結び目 / ブレイド / グラフィクス / カンドル / 4次元トポロジー |
研究実績の概要 |
前年度に引き続いて代数的な構造をダイアグラム(図式)を用いて表す方法の研究を行なった。フロベニウス代数の公理を図式化することで、その高次化となる高位の圏を構成する際に自然と思われる多重射を低い次元について構成した。そこでは、平面上の3価グラフとその基本変形が現れること、および、高さ関数を伴った3次元空間内の分岐曲面の基本的な変形が実現されることなどが確認できた。 4次元ユークリッド空間内に埋め込まれた曲面(曲面絡み目)は、曲面が向き付け可能である時、曲面ブレイドの閉包の形に変形できることが研究代表者によって示されていたが、向き付け不可能な曲面には適用できなかった。曲面ブレイドを用いて曲面絡み目を表す方法として、代表者の研究室の院生(安田順平)によってplat表示という新しい方法が研究されている。この表示方法は向き付け不可能な曲面でも曲面ブレイドを用いて表すことができるという利点がある。しかし、plat表示に変形する議論には当初トライセクションの基礎となる強力な補題が使われていた。議論の見直しを行って、この補題を用いない、より直接的で簡単な証明が得られた。 2020年5月13日-15日に京都大学数理解析研究所で研究集会「Intelligence of Low-dimensional Topology」をオンラインで開催した。世話人は大槻知忠(分担者)と秋吉宏尚で、11件の講演と約110名の参加者あった。2020年11月20日-22日に大阪大学で研究集会「4次元トポロジー」をオンラインで開催した。世話人は鎌田(代表者)、安井弘一(分担者)、松本堯生で、9件の講演と83名の参加者があった。2020年12月17日-18日に大阪市立大学で研究集会「カンドルと対称空間」をオンラインで開催した。世話人に鎌田、大城佳奈子(分担者)が含まれ、7件の講演が行われ53名の参加者があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度より作成を開始していた球面上のdoodleと交換子関係式に関する論文を完成することができ、インターネット上(arXiv)で公開し、学術雑誌に投稿した。 フロベニウス代数の公理の図式化を利用してある高次の圏を構成し、その中に平面上の3価グラフとその基本変形や高さ関数を伴った3次元空間内の分岐曲面の基本変形が実現されることなどが確認できたことは、代数的構造の図式を用いた解釈が有効であることを示すものである。 4次元空間内の与えられた曲面絡み目のplat表示を構成する際に、トライセクションで使われた補題を用いないで plat 表示に変形できたことは、plat表示がある意味でトライセクションに従属した概念でないことを示唆する。
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今後の研究の推進方策 |
Doodle図式に関しては、球面で行ったdoodle図式と初等交換子関係式の関係を種数の高い閉曲面に一般化する試みを継続する。 高次の圏と低次元トポロジーに現れる幾何的対象との関係についてさらに考察を行う。フロベニウス代数の公理をモデルにした高次の圏では、次数の低い多重射を構成し分岐曲面などとの関係を調べたが、その次の次元についてはまだわかっていない。この方面も調査したい。 カンドルを用いた結び目・曲面結び目の研究では、アレクサンダー対を伴うカンドルを用いた不変量の具体例とその有効性がわかり始めた段階であり、これに関する研究も進める必要がある。
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