研究課題/領域番号 |
19H01799
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 貴 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 特任教授(常勤) (40114516)
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研究分担者 |
宮西 吉久 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 特任助教(常勤) (20740236)
高橋 亮 奈良教育大学, 数学教育講座, 准教授 (30583249)
三沢 正史 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40242672)
佐藤 友彦 日本大学, 生産工学部, 准教授 (50397676)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 非線形偏微分方程式 / 大域解析学 / 非平衡統計力学 / 自由境界問題 / 特異性 |
研究実績の概要 |
反応拡散方程式系の解の時間大域解の存在と、関連する定常解の解集合の構造と力学系の制御について大域解析学を用いた手法を開拓し、新たな結果と視点を得た。 本研究では、 これまでロトカ・ボルテラ系、2次の非線形項をもつ消散型反応拡散系、進化ゲーム方程式、走化性方程式、多強度渦点平均場方程式などの個別の問題を取り扱い、 多成分系の相互作用によって特異性が消滅し、臨界指数や爆発機構が変動するという共通の状況を観察してきたが、その過程で注目し、開拓してきた変分構造やスケーリング不変性、多成分系双対法、エントロピー法、ラグランジュ法という手法に加えて、基本的ではあるが比較定理が有効な状況が分析でき、非線形現象を支配する全般的な描像、すなわち各成分の相互作用が補完して、臨界指数が遠くに押しやられる現象を様々な場面で明らかにすることができた。具体的には臨界指数を越えた非線形性に対する時間大域解の存在、勾配不等式を用いた定常解への収束、等周不等式に由来する解の比較、解の凸形状の保存であり、いくつかの論文や学会発表の他、De Gruyter社よりSemilinear Elliptic Equations第2版として25年ぶりに旧著を拡大する形で専門書として出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまで、多種相互作用によって特異性が解消され、時間大域的な解の存在が従来の予想を超える範囲で実現されていることを明らかにしてきたが、そのことが微分形式等の大域解析学の言葉で記述することで統一的に解明できることを明らかにして、適用範囲を広げることができ、当初の予想を超えた成果が展開されている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き多様体上の大域解析学の手法を駆使して、以下の項目について多種相互作用によって特異性が解消される原理を明らかにする(A)物質輸送を正準集団で記述した基礎方程式であるスモルコフスキー・ポアソン方程式の定常状態、無限時間、有限時間の3つの時間層での量子化される爆発機構の証明について、弱形式を用いた簡略化と統一化を完成し、自由エネルギーの役割を明確にする(B)多成分反応拡散方程式系において、逆に解の爆発が発生する条件を解明し、臨界指数が何であるかについてアプローチする(C)これまで顧みられなかった領域変分の存在と特徴づけについて、特に重複度をもつ固有値についてそのメカニズムを明らかにする(D)Maxwell方程式などの保存系についてMinkowski計量に付随する微分形式の界面消滅を示す(E)楕円型方程式の解の教会での爆発の制御を精密化する
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